銅鑼湾書店

銅鑼湾書店事件：香港の言論の自由を脅かす影

銅鑼湾書店（Causeway Bay Books）は、香港の銅鑼湾に存在した書店で、1994年に創業しました。この書店は、中国本土政府に批判的な書籍、いわゆる「禁書」を扱っていたことで知られています。2015年、書店関係者5名が相次いで失踪するという事件が発生し、国際的な注目を集めました。

事件の概要

失踪した関係者の中には、店長の林栄基（ラム・ウィンキー）や株主が含まれていました。彼らの失踪は、中国当局による拘束が疑われ、香港における言論の自由に対する重大な脅威として認識されました。失踪事件後、書店にあった4万冊以上の書籍が破棄され、事実上、営業停止状態となりました。この事件は「銅鑼湾書店株主及び従業員失踪事件」または「銅鑼湾書店事件」と呼ばれています。

中国当局による拘束

2015年10月、書店関係者の失踪が相次ぎました。その後、約8ヶ月が経過した時点で、中国当局によって拘束されていたことが判明しました。店長の林栄基は2016年6月に保釈されましたが、中国当局から香港に戻った後、顧客データの入ったパソコンを持って深圳に戻るよう要求されました。しかし、林栄基は中国本土に戻らず香港に留まりました。

2度目の拘束

2018年1月には、書店親会社の大株主である桂民海（グイ・ミンハイ）が再度拘束されました。彼はスウェーデン国籍であり、当時、スウェーデンの外交官2人が同行していました。しかし、浙江省寧波から北京のスウェーデン大使館に向かう列車の中で、私服警官によって連行されました。

王立強の告発

2019年11月には、中国共産党のスパイであった王立強（ワン・リチアン）がオーストラリアに亡命しました。彼は、銅鑼湾書店の経営者である李波（リー・ボー）の誘拐への中国共産党の関与を暴露しました。さらに、香港の反体制派に対するサイバー攻撃への関与についても言及しました。王立強の告発によれば、中国共産党が李波を誘拐した理由は、書店が『習近平と六人の女』といった、中国共産党を批判する書籍を販売していたからだとされています。

台湾での再開

事件後、元店長の林栄基は台湾に滞在し、クラウドファンディングで開業資金を募り、2020年4月25日に台北市で銅鑼湾書店を再開しました。しかし、開業直前には、経営者が赤いペンキを浴びせられるなどの妨害行為が発生しました。この事件は、中華統一促進党の関係者によるものと疑われています。

事件が示すもの

銅鑼湾書店事件は、香港における言論の自由が深刻な脅威に晒されていることを示す象徴的な出来事です。中国本土政府の圧力は、香港における出版の自由や個人の安全を脅かし、香港の自治に対する深刻な懸念を呼び起こしています。この事件は、国際社会における中国の行動に対する監視と批判の必要性を浮き彫りにしています。

関連情報

銅鑼湾: 事件の舞台となった香港の地区。
一国二制度: 香港の政治体制の根幹であり、中国との関係における原則。
禁書: 中国本土政府によって発禁とされている書籍。
中国大陸で禁書とされる香港・台湾の書物: 中国本土における検閲の実態を示す。
二階書店: 同じく「禁書」を扱う書店として知られる。

外部リンク

銅鑼灣書店－台灣重啟 (causewaybaybooks) - Facebook

この事件は、単なる書店の問題ではなく、香港の自由と自治を巡る深刻な問題として、国際社会が注視し続けるべき重要な出来事です。

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