銭形平次 (曲)

舟木一夫「銭形平次」：時代劇と共に歩んだ名曲

1966年5月、舟木一夫の38枚目のシングルとしてリリースされた「銭形平次」。A面は「敦盛哀歌」でしたが、ジャケットは両曲を表したダブルジャケット仕様で、事実上両A面扱いとされました。この曲は、大川橋蔵主演のテレビ時代劇『銭形平次』（フジテレビ系）の主題歌として使用され、長きに渡り愛される名曲となりました。

多彩な編曲と時代劇の歴史

「銭形平次」の音楽は、放送期間を通して複数の編曲家が担当し、時代や視聴者の嗜好を反映した変化を見せています。

阿部皓哉：第1話（1966年）から第364話（1973年）、そして第417話（1974年）から第571話（1977年）までを担当。特に第520話（1976年）から第571話までは、それまでのタイトルバックBGMをイントロに用いた、エレキギターをフィーチャーしたジャズ調のアレンジが特徴的でした。
山路進一：第365話（1973年）から第416話（1974年）までを担当。オリジナルのメロディーを尊重したアレンジが施されました。
津島利章：第572話（1977年）から第886話（1984年）までを担当。テンポの速い、現代的な曲調にアレンジされ、時代劇の新たな一面を音楽で表現しました。最終回である第888話（1984年）では、オリジナルのフルサイズバージョンが使用されました。

これらの編曲の違いは、時代劇の雰囲気の変化、そして音楽トレンドの変化を反映しており、「銭形平次」という楽曲が時代と共にどのように変化し、受け継がれてきたかを示す重要な要素となっています。

A面「敦盛哀歌」：大河ドラマとの繋がり

シングルA面「敦盛哀歌」は、1966年のNHK大河ドラマ『源義経』で舟木一夫が平敦盛役を演じたことを記念して制作されました。作詞は、同ドラマの脚本家である村上元三が担当しており、彼にとって初めての歌謡曲作詞作品となりました。1978年には、「歌謡舞踊シリーズ」として、「敦盛哀歌」の振付を収録したバージョンが再発売されるなど、楽曲の幅広い魅力が示されています。

多数のカバーと継承

「銭形平次」は、その後も多くのアーティストによってカバーされています。

北大路欣也：北大路欣也主演版のテレビ時代劇『銭形平次』の主題歌として、津島利章編曲バージョンが使用されました。
チームZ：パチンコ台のサウンドトラックに収録。
福山雅治：自身の楽曲セレクションアルバム『魂リク』に収録。

このように、「銭形平次」は単なる主題歌にとどまらず、時代劇、そして音楽史における重要な楽曲として、広く愛され、継承され続けています。舟木一夫自身も『銭形平次』に俳優として出演しており、楽曲と俳優としての活動が密接に結びついている点も興味深い側面です。様々なバージョンの存在、そしてカバーされることによって、「銭形平次」は時代を超えて聴き継がれる、普遍的な魅力を持つ楽曲と言えるでしょう。清水ミチコによる「銭形平次」と「水戸黄門」の主題歌を同時に演奏するというパフォーマンスも、この楽曲の人気を示す一例と言えるでしょう。

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