鍾

鍾（しょう、チョンまたはジョン）

鍾という姓は、中国や華人、さらには朝鮮で広く使われている漢姓の一つです。この姓は、中国において非常に一般的であり、2020年に行われた中華人民共和国の全国人口調査では、全体の中で53番目に多い姓名として、約563万人がこの姓を名乗っています。一方で、台湾の2018年の統計によると、鍾は34位にあり、153,701人がこの姓を持っています。

字形と表記について

鍾と鐘は、異なる漢字ですが同音であり、形状も似ているため、古くから混同されて使われてきました。簡体字では、両方を「钟」としてまとめて簡略化されることが多いです。それに加えて、2013年に発表された通用規範漢字表では、姓や人名として用いる場合には「锺」を使用することが規定されていますが、実際には「钟」が一般的に用いられています。

著名な人物

鍾姓を名乗る著名人には、多くの文化的・歴史的な人物がいます。春秋時代の鍾子期は「知音」という故事で知られる人物です。三国時代の政治家であり書家の鍾繇や、彼の子である鍾会も有名です。また、梁の文人である鍾嶸は『詩品』の編纂に関わるなど、文壇でも名を馳せました。

近代には、アメリカ合衆国の軍人であるゴードン・チャン＝フー（鍾雲）や、香港で活躍する俳優や歌手が多くいます。例えば、ケニー・ビー（鍾鎮濤）、チェリー・チェン（鍾楚紅）、鍾漢良（ウォレス・チョン）などが著名です。また、ジリアン・チョン（鍾欣潼）、シャーマン・チョン（鍾舒曼）、リンダ・チョン（鍾嘉欣）といった香港の女優も存在します。さらに、台湾のプロ野球選手鍾承祐や、中国の裕福な実業家鍾睒睒も名のある人物として挙げられます。

架空の人物

また、鍾には架空の人物も多く存在します。道教の神である鍾馗や、ゲーム「原神」に登場するキャラクター鍾離といった存在が知られています。

朝鮮における鍾姓

朝鮮においても、鍾（チョン）という姓は一般的です。この姓は、中国から流入したとされ、宋の桓公の次男が鍾に封じられたのが起源と言われていますが、朝鮮への流入時期ははっきりしていません。

朝鮮氏族統譜によると、鍾姓の氏族には、河陰、豊徳、通津、天安、霊岩、荳原、旌義の系統があり、特に河陰鍾氏が大多数を占めています。1930年の国勢調査では、全国に47世帯の鍾姓が確認され、そのうち32世帯が江華島に居住していたことが記録されています。

鍾姓は、様々な歴史的背景や文化を持つ姓であり、著名な人物も多く存在するため、その由来や意味について知ることで、より深い理解が得られるでしょう。

もう一度検索