鎌原幸重

鎌原幸重（かんばら ゆきしげ）

生涯

鎌原幸重は、戦国時代に上野国吾妻郡鎌原郷（現在の群馬県嬬恋村鎌原）を治めていた武将です。鎌原城の主であり、地域を代表する国衆でした。幸重は、滋野氏の一族であり、真田氏と同族とされています。父の幸定は真田幸綱の弟であったと伝えられており、もし事実であれば、幸重は幸綱の甥にあたります。

幸重は、同じ吾妻郡の国衆である羽尾氏とともに、吾妻斎藤氏に従っていました。しかし、羽尾道雲との間で所領を巡る対立が生じます。その中で、幸重は斎藤氏や羽尾氏に対抗するため、真田幸綱を通じて甲斐の武田氏に接近しました。1560年（永禄3年）春には、信濃国平原（現在の長野県小諸市）で武田信玄と会見したとされています。

武田氏との接近を危険視した吾妻斎藤氏の斎藤憲広は、同年10月に軍勢を発し、羽尾道雲、富沢加賀守、湯本善太夫、浦野下野守、横谷左近将監ら600騎を率いて鎌原領に侵攻しました。幸重は、嫡男の重澄を赤羽根の台（現在の嬬恋村三原）に、西窪佐渡守知昭を鷹川城（現在の嬬恋村袋倉）に配置し、迎え撃ちました。しかし、戦況は不利であり、最終的には大戸真楽斎の仲介によって和睦しました。この結果、鎌原氏は吾妻斎藤氏に一時的に屈服することとなりました。

幸重は、翌年の1561年（永禄4年）9月の第四次川中島の戦いで戦死したと伝えられています。その後、鎌原氏の家督は嫡男の重澄が継ぎました。重澄は、父の時代から続いていた羽尾氏や吾妻斎藤氏との所領問題を抱え、苦戦を強いられましたが、最終的には武田氏の支援を得て所領を奪還することに成功しました。

鎌原氏と周辺勢力

鎌原氏が拠点を置いた上野国吾妻郡は、周辺の大名や国衆が入り乱れる地域でした。鎌原氏は、真田氏、羽尾氏、吾妻斎藤氏といった勢力と複雑な関係を築きながら、勢力拡大を図っていました。

真田氏: 鎌原氏と同族であり、幸重は真田幸綱の甥にあたるとされています。幸重は真田氏の支援を受けながら、勢力拡大を図っていたと考えられています。
羽尾氏: 吾妻郡の国衆であり、鎌原氏とは所領を巡って対立しました。幸重は羽尾氏との対立を解消するため、武田氏に接近したとされています。
吾妻斎藤氏: 吾妻郡を支配していた大名であり、鎌原氏や羽尾氏を従えていました。鎌原氏は、斎藤氏の勢力下で行動していましたが、武田氏への接近が斎藤氏との対立を招きました。
武田氏: 甲斐の有力大名であり、幸重は斎藤氏に対抗するため武田氏に接近しました。武田氏の支援は、その後の鎌原氏の所領回復に繋がりました。

参考文献

久保田順一『戦国上野国衆辞典』戎光祥出版、2021年
宮坂武男『信濃をめぐる境目の山城と館　上野編』戎光祥出版、2015年
* 丸島和洋『真田一族と家臣団のすべて』KADOKAWA、2016年

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