鎗田清太郎

鎗田 清太郎

鎗田 清太郎（やりた せいたろう）は、昭和から平成にかけて活躍した日本の詩人、そして有能な編集者です。1924年（大正13年）7月29日、東京に生を受け、2015年（平成27年）8月31日にその生涯を閉じました。

彼の学問的な背景は、國學院大學文学部哲学科にあり、1949年（昭和24年）にここを卒業しています。

卒業後のキャリアは、まず出版業界でスタートしました。特に、角川書店に入社し、編集者としての道を歩み始めます。角川書店では編集部次長という要職にまで昇進しましたが、1957年（昭和32年）に同社を退職しました。

角川書店を離れた後も、編集者としての手腕を発揮し続けます。知性社では出版部長を務め、次に表現社でも出版部長として活躍しました。さらに、新人物往来社では編集局長に就任するなど、複数の出版社で重要なポジションを歴任し、出版界の発展に貢献しました。

編集者としてのキャリアと並行して、鎗田清太郎は詩人としても精力的に活動しました。自身の詩作に加え、詩壇においても中心的な役割を担います。彼は詩誌『火牛』の代表を務め、多くの詩人に発表の場を提供しました。また、日本の現代詩の振興にも尽力し、1995年（平成7年）には日本現代詩人会の会長に就任しました。

その詩人としての功績は高く評価されており、2002年（平成14年）には詩集『思い川の歌』で、権威ある丸山薫賞を受賞しました。これは、長年の詩作活動が実を結んだ大きな成果と言えるでしょう。

鎗田清太郎の著作は多岐にわたります。主な詩集としては、『象と螢』（1972年）、『石川の貝』（1984年）、『幻泳』（1990年）、『鎗田清太郎詩集』（日本現代詩文庫、1994年）、そして丸山薫賞を受賞した『思い川の馬』（2001年、受賞時のタイトルは『思い川の歌』ですが、これは同一作品と見られます）などがあります。

また、詩論やエッセイも手掛けており、その思索の深さを示す『探詩縹渺』（詩論・エッセー文庫、1998年）を刊行しています。さらに、彼が深く関わった角川書店の創業期を振り返る著作として、『角川源義の時代 角川書店をいかにして興したか』（1995年）があります。これは角川書店創業50周年を記念して出版されたもので、黎明期の出版界の内側を知る貴重な資料となっています。

このように、鎗田清太郎は編集者として出版界を支える一方で、詩人として独自の表現世界を追求し、現代詩壇においても指導的な役割を果たしました。その生涯は、編集と創作、二つの分野で豊かな実りを結んだものと言えるでしょう。

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