鎮遠府

鎮遠府は、中国の歴史において、現在の貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州北部に存在した行政区画です。元代初期にその前身となる鎮遠沿辺渓洞招討使が設置され、後に鎮遠府へと改称されました。当時の鎮遠府は、思州軍民安撫司の管轄下にありました。

明代に入ると、1371年（洪武4年）に、鎮遠府は一旦鎮遠州へと降格されました。しかし、1413年（永楽11年）には再び鎮遠府として昇格し、貴州省に属することとなりました。この時、鎮遠府は鎮遠県、施秉県の2県に加え、偏橋長官司、邛水十五洞蛮夷長官司、溱涪六洞横坡長官司の3つの長官司を管轄していました。

清代に入ると、鎮遠府は引き続き貴州省に属し、その管轄範囲はより広範囲となりました。鎮遠県、施秉県、天柱県の3県に加え、黄平州、台拱庁、清江庁の2つの庁も管轄下に置かれました。これらの行政区画の変遷は、この地域の歴史的な重要性と複雑な統治構造を示しています。

しかし、1913年、中華民国が成立すると、鎮遠府は廃止され、その歴史に幕を閉じました。鎮遠府は、元代から中華民国初期にかけて、この地域の行政、文化、社会に大きな影響を与えたと言えるでしょう。その存在は、中国の歴史における地方行政制度の変遷を理解する上で重要な事例の一つとなっています。

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