長屋

長屋（ながや）とは

長屋は集合住宅の一形態で、複数の住戸が水平方向に連結している建物を指します。この概念は主に日本のものを意味し、伝統的には1階建てが一般的でしたが、近年では2階以上のものも見受けられます。長屋には「棟割長屋」という呼称もあり、各住戸は壁を共有し、玄関は外界に直接面しており、他の住戸と共有していないことが特徴です。

定義と種類

長屋は具体的には、1棟の建物を水平方向に区分し、それぞれの独立した住戸が存在する構造です。近年では、低賃貸住宅のイメージを払拭するために、「タウンハウス」や「テラスハウス」と呼ばれることが多くなっています。また、イギリスなどでは「セミデタッチト・ハウス」という形式もあり、壁を1方向で共有した2軒の住居が並ぶスタイルです。

長屋の定義には2つの条件があります。1つ目は、各住戸の玄関が外界に接すること、2つ目はその玄関が他の住戸と共有されていないことです。これに対し、共有の廊下や階段を持つものはアパートやマンションと呼ばれます。日本の長屋は、主に都市部の居住形態として機能してきました。

日本における長屋の歴史

日本での長屋のイメージは、特に下町の狭い路地に面した木造住宅として強く印象付けられています。長屋は歴史的に都市住居として広く見られており、江戸時代には多くの町人や職人が居住していました。特に江戸時代の長屋は、火の扱いが難しく、火災対策として簡素な構造が求められました。通常、長屋は平屋建てが多く、台所や部屋は2部屋程度が一般的でした。

また、この時代の長屋には共同トイレが設けられ、風呂はファシリティとして使用されるものではなく、井戸から水を供給する形だったため、近隣住民とのつながりを生む「井戸端会議」という文化が生まれる原因ともなりました。

現代の長屋

現在でも長屋は低層集合住宅として親しまれており、1980年代には鉄筋コンクリート造のタウンハウスとして多数が建設されました。これらは、建築法規上で各住戸が壁を共通にしつつも裏口が独立していることを求められています。最近では都市防災の視点から、密集地域における木造長屋の建て替えも進められています。さらに、地価高騰により小規模ですが、2階建や3階建の重層長屋が建設される傾向にあります。

長屋は日本の住居文化において重要な役割を持ちながら、現代のニーズに応じた変遷を遂げています。戦前の長屋の見直しが進められている地域もあり、コンバージョンによって新たな住居や商業スペースとして活用される例も増えてきました。これにより、江戸時代から連綿と続く長屋という形態は、現代の社会においてもなお存在感を示しているのです。

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