長岡運輸区

長岡運輸区（ながおかうんゆく）

長岡運輸区は、東日本旅客鉄道（JR東日本）新潟支社が新潟県長岡市にかつて設置していた鉄道組織です。主な役割は、所属する運転士や車掌が担当路線の列車に乗務し、安全で円滑な運行を確保することでした。長岡駅を拠点とする輸送体系において、列車運行の実務を担う重要な存在として機能していました。

業務範囲

当区の乗務員が担当していた業務範囲は広範に及びました。主に長岡駅を発着する列車の運行を担当しており、具体的な路線・区間としては以下のものが含まれます。

信越本線（長岡駅～直江津駅間）
上越線（長岡駅～水上駅間）
飯山線
只見線

幹線輸送から地域のローカル線まで、多岐にわたる区間において、旅客・貨物列車の安全な運行を最前線で支える役割を果たしていました。

組織の特性

長岡運輸区は、運転士と車掌という乗務員のみが所属する組織であり、自ら列車車両を保有したり管理したりすることはありませんでした。乗務に使用する車両は、同じ長岡地域に所在する長岡車両センターが管理・配置しており、当区の乗務員はそれらの車両を用いて業務を行っていました。この点は、車両基地を併設する運転区所などと比較した場合の組織的な特徴と言えます。

沿革

長岡運輸区の歴史は、その前身組織にまで遡ります。

1947年（昭和22年）1月10日：第二次世界大戦後の鉄道組織再編が進む中で、それまで新津車掌区の長岡支区として機能していた組織が独立し、「長岡車掌区」として正式に発足しました。これが長岡地域に根差した乗務員組織の始まりです。
1997年（平成9年）9月5日：JR東日本新潟支社内の組織再編の一環として、従来の長岡車掌区と、長岡運転所（現在の長岡車両センター）の乗務員部門が統合されることとなりました。これにより、運転士と車掌が一体となった新たな組織「長岡運輸区」が発足。乗務員間の連携強化や業務効率化を目指す動きの一環でした。
* 2015年（平成27年）3月14日：北陸新幹線の金沢延伸開業に伴う並行在来線の経営分離に関連し、組織の担当範囲に変化が生じました。信越本線の一部区間（長野～直江津間など）が第三セクター鉄道に移管される中、JR東日本に残された信越本線の長岡～直江津間などの業務を引き続き担当するため、直江津運輸区が長岡運輸区に統合されました。これにより、担当エリアが拡大し、組織の規模も一時的に大きくなりました。

設立以来、幾度かの組織再編を経てきましたが、一貫して新潟県中越地方における主要な鉄道輸送を、乗務員の力で支え続けてきました。

組織の終焉と現在

JR東日本新潟支社は、より効率的かつ機能的な組織体制を構築するため、近年、営業部門と運輸部門などを統合した「統括センター」の設置を進めてきました。こうした組織再編の大きな流れの中で、長岡運輸区もそのあり方を見直されることとなります。

2024年（令和6年）2月29日をもって、長岡運輸区は単独の組織としての長い歴史に幕を下ろし、廃止されました。そして、翌日の2024年（令和6年）3月1日からは、長岡営業統括センターなどと統合される形で、新たに発足した「長岡統括センター」の一部門としてその機能が引き継がれています。

組織の名称は変わりましたが、長岡運輸区が培ってきた運転・車掌技術や安全運行への意識は、現在の長岡統括センターの乗務員部門に確実に受け継がれ、引き続き長岡を拠点とする鉄道輸送を支えています。

長岡運輸区は、約27年間の存続期間を通じて、地域輸送の根幹を成す信越本線や上越線をはじめ、飯山線、只見線といった多種多様な路線において、旅客や貨物を安全・正確に目的地へ届けるという重要な使命を担った組織でした。その役割は、組織形態を変えながらも、未来へと受け継がれています。

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