長崎電気瓦斯

長崎電気瓦斯株式会社の歴史と沿革

長崎電気瓦斯株式会社（ながさきでんきがすかぶしきがいしゃ）は、大正時代に日本で設立され、わずか3年間にわたり存在した電力会社及び都市ガス供給業者です。長崎県長崎市を本社とし、地域電力とガス供給の両方で重要な役割を果たしました。この企業の設立は1914年4月30日で、長崎電灯株式会社（1889年設立）と九州瓦斯株式会社（1902年設立）の合併によって誕生しました。連携により、新たに長崎電気瓦斯株式会社が設立されたものの、その存在は1916年までと短命でした。

設立の背景

長崎の電気事業は、1886年に長崎紡績所での試験的な電灯点灯を起源とし、1889年の長崎電灯設立に至ります。その後、1893年に長崎電灯は本格的に営業を開始し、九州で2番目の電気事業者となりました。ガス事業は1899年から小曽根晨太郎などの実業家によって計画され、1902年には長崎瓦斯が設立されました。このように電気とガスの両方の事業が長崎で同時に展開されていきましたが、競争が厳しさを増す中、両社が一緒に力を合わせる形で合併することが決まったのです。

合併と新会社の誕生

1914年に長崎電灯と九州瓦斯は合併契約を結び、新たに長崎電気瓦斯株式会社が設立されました。合併の背景には、双方の競争による利益の損失があったとされ、商業銀行の仲介によりこの決定に至ったのです。新会社は資本金216万円で、古賀春一が社長、太田清蔵が取締役に就任しました。

事業拡大とその後の影響

会社設立後、長崎電気瓦斯は短期間で顕著な成長を遂げました。1915年11月には、長崎電気瓦斯は電灯数7万9337灯、需要家数2万8509戸を記録しました。これは、当時の長崎市内の電力需要に応える重要な実績でした。一方、ガス事業も需要家数2986戸を記録しており、電灯による商業用の需要と分けて受け入れられていました。

しかし、1916年1月に九州電灯鉄道との合併契約が結ばれると、長崎電気瓦斯の運命は大きく変わります。これにより、長崎電気瓦斯は解散し、九州電灯鉄道の一部としてその名を消していくことに。合併の理由は、需給体制の強化と経営の効率化にありました。

発電所と設備

長崎電気瓦斯の基盤として立脚していた発電所は、長崎市外の浦上山里村でスタートし、1896年に長崎市内へと移転されました。最初の発電所は逐次増設され、最終的には539キロワットという出力を持った設備となりました。新たに建設された稲佐発電所も、長崎市稲佐地区に設置され、625キロボルトアンペアの三相交流発電機が求められましたが、これもまた戦時下での経済的な逆風と相まって経営を難しくさせました。

結論

長崎電気瓦斯株式会社の歴史は、地域供給のニーズに応じた電力とガスの誕生とともに同社の成長を物語っています。短期間の運営ながらも、地域のインフラに貢献したその活動は、後の電力会社やガス会社の基盤を築く重要な役割を果たしたと言えるでしょう。合併後の九州電灯鉄道の一部とされ、今日の東邦電力へと続く流れを形成しました。

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