長崎電気軌道500形電車

長崎電気軌道500形電車

長崎電気軌道500形電車は、1966年に導入された路面電車車両で、長崎電気軌道の運行において重要な役割を果たしています。元々、輸送力の増強や車両の不燃化を目的とし、1961年から1963年の間に3年間で21両の金属製ボギー車を新造する計画が立てられたものの、経営難の影響で7両の導入にとどまりました。しかし、500形の導入によって、残存する木造車の置き換えが進みました。

車両の設計と特徴

この500形電車は、従来の360形や370形と同様に前中扉が特徴で、全体が金属製です。全長が500mm延長されており、側面窓が一枚増え、窓配置はD4D4とされています。また、乗車扉は自社発注車として初めて引き戸を採用するなどの工夫が見られます。前面は都電8000形に似た形状を持ち、窓の高さが側面窓と揃えられているのが特徴です。

車両の設計にはコスト削減も意識されており、細部の造形は角ばった印象を与えています。室内空間もシンプルに設計され、蛍光灯の数を減らし、座席背もたれも簡素化されている点が挙げられます。また、車両はワンマン運行に対応できるように入線時から自動ドアや放送機器を装備しており、使いやすさが考慮されています。

機械装置と改造

500形は、大阪市交通局から譲受した機器を利用しています。台車はJ.G.ブリル社製Brill 77Eを装着し、主電動機はSS-50が搭載されており、安定した走行性能を実現しています。制御器は戦後の日本で標準化されたKR-8を採用し、操作性が向上しています。

ワンマン運行用として設計された500形は、1968年に初めてワンマン化改造が施され、その後も順次改造が行われました。さらに、1980年代には暖房と冷房装置の設置が行われ、快適性が向上しています。1984年から1985年にかけては、行先表示器の自動化と刷新が行われ、より現代的な運行が可能となりました。

運用状況と歴史

2018年4月の時点で、500形のうち502号から506号の5両が運行されています。501号は2014年に廃車されてしまいましたが、506号は長崎大水害の際に被災しながらも復旧し、今も運用を続けています。500形電車は全車が長崎スマートカードに対応しており、地域住民や観光客にとって利用しやすい交通手段となっています。

長崎電気軌道500形電車は、地域の公共交通としての歴史と共に進化を続けており、今後も多くの人々に利用されることでしょう。また、地域のシンボルとしての役割も果たしているこの電車は、単なる移動手段を超えた存在として、長崎の文化を支えています。

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