長崎電気軌道87形電車

長崎電気軌道87形電車の概要

長崎電気軌道87形電車は、かつて長崎市で運行されていた路面電車用の無蓋電動貨車です。1978年と1987年に製造された87形は、特に花電車としての役割を担い、地域のイベントや祭りに彩りを添えていました。この電車は、元々異なる背景を持つ二両（87号と88号）で構成されており、それぞれの特徴や歴史があります。

87号の誕生

87号は、西日本鉄道の福岡市内線で使用されていた20形21号を1978年に譲り受けたことから始まりました。元々は1911年に南海鉄道の旅客用車両として製造され、後に電動貨車に改造されたものです。この車両は「博多どんたく」の花電車として名を馳せていましたが、1975年に市内線が大幅に縮小されると使用されなくなりました。

長崎への譲渡後、主電動機が新しいものに交換され、1978年の「ながさきまつり」では装飾電車としての運行を開始しました。初めは以前のパンタグラフを使用していましたが、1980年にはZパンタグラフに改装され、運行を続けました。

88号の誕生

88号は1987年に新たに製作された花電車用電動貨車です。この車両は、土中から取り出されたブリル21E台車を基にしており、台車自体は1911年に製造された木造の2軸単車に由来します。このように、87号とは異なるアプローチで生まれた88号も、花電車用に同様の役割を果たすこととなりました。

運用とイベント

87号は、譲渡直後の1978年に「ながさきまつり」で装飾電車として公に運行を始めました。この後も、「長崎くんち」や「長崎ランタンフェスティバル」などの地域の重要なイベントでスポンサー電車として活動していました。特にランタンフェスティバルでは、中華風の装飾を施し、夕暮れ時に市内を華やかに彩る役割を担っていました。

一年を通じて87号と88号は、一般向けのイベントや宣伝活動に使われ、地域特有の祭りや文化を広める重要なツールとなっていました。2005年には、開業90周年を記念したイベントで両車両が共演する光景も見られました。

しかし、花電車としての運行が中止されると、両車両の出番はなくなり、2010年に87号と88号は共に廃車化されました。長崎の文化と歴史の一部として愛されていたこれらの電車は、地域の人々にとって特別な存在だったのです。

その他の動向

興味深いことに、2015年には新たな花電車用の電動貨車が誕生し、同じ87形の名称が与えられました。これは、87形の精神を引き継ぎながらも、現代の技術で新たに生まれ変わった存在です。

長崎電気軌道の87形電車は、地域の祭典や記念行事で重要な役割を果たしており、その歴史と意義を理解することは、地域文化の理解につながります。

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