長恨夢

長恨夢（チョウゴンム）

『長恨夢』（ちょうごんむ、チャンハンモン）は、日本の文学作品である尾崎紅葉の『金色夜叉』を基にして、朝鮮の作家趙重桓によって翻案された小説です。この作品は、1913年に『毎日申報』に連載され、その年に革新團によって舞台化されるなど、当時の朝鮮において大きな人気を博しました。『金色夜叉』は1898年に新派によって公演され、特に大韓帝国でも高い評価を受けた作品でした。

物語の中心を成すのは、李守一（イ・スイル）と沈順愛（シム・スネ）という二人の若者です。李守一は幼少期に両親を失い、友人の沈沢の家に引き取られます。その家には沈順愛がいて、二人は共に育ち、やがて婚約することになります。しかし、人生は思い通りには進まず、ある日、彼らはソウルの喫茶店「ゴール」で富豪の金一家に招待され、そこで金重培という留学生と出会います。

沈順愛は金重培の持つ宝石に目を奪われ、次第に彼に心を動かされます。その結果、沈順愛の両親は李守一との婚約を破棄し、沈順愛は金重培と結婚することになります。失恋した李守一は傷心のあまり家を出て、心の闇に飲まれて高利貸しとして生計を立てることになります。一方、沈順愛は金重培と結婚するものの、李守一への罪悪感と愛情から不幸な現実に直面します。

物語は進み、沈順愛は悩み抜いた挙句、大同江に身を投げようとしますが、必然的に李守一の友人、白楽観によって助けられます。白楽観は李守一との再会を提案しますが、李守一は金銭に執着し、再会を拒み続けます。ところがある日、李守一は自殺を試みている男女を救ったことが契機となり、心境が変わります。

沈順愛もまた、実家に帰り、李守一に対する恋慕の情が次第に狂気に変わる様子が描かれています。白楽観の仲介により、最終的に二人は過去の決別を果たし、再び出会うことになります。この作品は、愛と悲劇、そして罪と贖罪のテーマを通じて、深い感情を呼び起こすものです。

また、『長恨夢』が舞台化される前から、主人公のモデルが巌谷小波であるとの噂が立ち、そのことが新聞でも取り上げられるほどの注目を集めました。巌谷は当時、京城日報の主催によって朝鮮各地を巡業し、童話を披露していました。

このように、『長恨夢』は朝鮮文学の中でも特に重要な作品となり、数十回にわたり演劇として上演されてきました。また、近年では映画の脚本の原案としても使用されるなど、その影響力は続いています。物語の深い感情と複雑な人間関係は、今なお多くの人々に愛され続けている理由の一つです。

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