長橈側手根伸筋

長橈側手根伸筋（Extensor Carpi Radialis Longus）

長橈側手根伸筋は、前腕の背側に位置する筋肉の一つであり、手関節の運動に深く関与しています。この筋肉は、手首の安定性と、特定の運動を行う上で不可欠な役割を果たしています。

起始と停止

長橈側手根伸筋は、上腕骨外側上顆から起始します。上腕骨外側上顆は、肘関節の外側に位置する骨の隆起であり、多くの前腕伸筋群の起始点となっています。そこから筋肉は前腕に沿って下行し、第2中手骨底の背側で停止します。第2中手骨は、手の甲を構成する骨の一つで、人差し指に相当します。

作用

長橈側手根伸筋の主な作用は、以下の2つです。

1. 手関節の背屈: 手関節を背屈させる、つまり手の甲を前腕に近づける動作です。この動作は、物を持ち上げる際や、キーボードを打つ際など、日常生活の多くの場面で見られます。
2. 手関節の橈屈: 手関節を橈屈させる、つまり手を親指側に傾ける動作です。この動作は、例えば、ドアノブを回す際や、物を掴んで移動させる際などに必要となります。

これらの作用は、他の手関節の筋肉と共同して行われることが多く、手首の滑らかな動きを可能にしています。

神経支配

橈骨神経によって支配されています。橈骨神経は、上腕から前腕にかけて走行する主要な神経であり、前腕の多くの伸筋群に運動指令を送っています。この神経が損傷を受けると、長橈側手根伸筋の機能が低下し、手関節の運動に支障をきたす可能性があります。

臨床との関連

長橈側手根伸筋は、過度な使用や繰り返しの動作によって、炎症を起こしやすい筋肉です。この炎症は、一般的に「テニス肘」と呼ばれる状態を引き起こす原因の一つとなります。テニス肘は、肘の外側に痛みが生じる疾患であり、長橈側手根伸筋の起始部である上腕骨外側上顆に炎症が波及することで発生します。治療法としては、安静、冷却、ストレッチ、筋力トレーニングなどがあります。

トレーニング

長橈側手根伸筋を鍛えるためのトレーニングとしては、ダンベルやチューブを使用した手首の運動が効果的です。例えば、ダンベルを握り、手首を背屈させる運動や、チューブを足で固定し、手首を橈屈させる運動などがあります。これらの運動を行うことで、手首の安定性が向上し、怪我の予防にも繋がります。

まとめ

長橈側手根伸筋は、手関節の背屈と橈屈という重要な役割を担う筋肉であり、日常生活やスポーツにおいて不可欠な存在です。その機能と構造を理解することで、手首の怪我を予防し、より快適な生活を送ることができるでしょう。

関連項目

解剖学
人間の筋肉の一覧

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