長江メモリ

長江メモリ（YMTC）の概要

長江メモリテクノロジーズ株式会社（YMTC）は、フラッシュメモリチップ、特にNAND型メモリに焦点を当てた中国の半導体製造企業です。2016年に武漢に設立され、紫光集団の傘下に属しています。消費者向け製品は「ZHITAI（致鈦）」というブランド名で知られています。2020年には、20nmプロセスを用いて64層の3D NANDフラッシュを製造しており、さらに同年に128層の垂直NANDチップを発表し、生産を開始しました。

設立と初期の展開

YMTCは2016年、紫光集団と湖北省の地方政府、さらに「ビッグファンド」と呼ばれる中国国立集積回路産業投資ファンドとの連携により、24億ドルという巨額の投資を受けて設立されました。設立当初から、技術革新に注力し、2018年には垂直NAND用に設計されたXTackingアーキテクチャを導入。この技術は、セルアレイと周辺論理回路を異なるウェハー上で製造し、プラズマ活性化と熱アニーリングを通じてそれらを接合するというものです。この技術により、製造プロセスの効率とNANDの性能が大幅に向上します。

進化する製品ライン

YMTCは2018年後半、32層の3D NANDチップの量産を発表し、2019年には64層TLC 3D NANDの量産を開始しました。両方の製品はXTackingアーキテクチャを採用しており、中国国内で生産された初の3D NANDチップとして注目を集めました。2020年4月には、128層の1.33Tbフラッシュメモリチップを開発し、続いて同年9月には初の消費者向け製品をZHITAIブランド名で発表しました。

生産と技術の課題

ただし、2020年から2021年にかけて、YMTCは128層チップの初期生産において歩留まりの問題に直面しました。生産効率は約30%から40%にとどまりましたが、2021年9月には、これまでに3億個以上の64層チップを出荷したと発表し、128層QLCチップの量産準備も進めていることを伝えました。この年には、毎月100,000ウェハーの生産能力を誇る第二ファブの設計も計画されました。

国際的な関心と規制の影響

YMTCは国際的にも注目されており、特にアメリカでは様々な政治的な議論を引き起こしています。2021年7月、米国下院議員はYMTCを商務省のエンティティリストに追加すべきとする意見書を提出し、中国政府との関係を問題視しました。2022年には、アップルがYMTC製NANDチップの調達を検討しているとの報道に対して、アメリカの政治家から不満の声が上がりました。このような国際的な圧力により、YMTCは2022年12月にエンティティリストに追加された企業の一つとなりました。

未来への展望

YMTCは現在、32層から128層を経て232層の3D NAND技術を開発するなど、技術革新を続けています。また、競合他社との差別化を図るために、自社のSSDコントローラーを開発しており、さらなる市場拡大を狙っています。YMTCが国際的な市場でどのように成長していくのか、今後の展開が注目されます。

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