長瀬真幸

長瀬真幸

長瀬真幸（ながせ まさき、1765年 - 1835年）は、江戸時代後期の肥後国熊本藩に仕えた国学者・文献学者です。通称は七郎平、号は田廬（たぶせ）、双松園と称しました。

生涯

幼少の頃より学問に励み、儒学者の草野潜渓に師事。父の長瀬正常からは有職故実を、守山八幡宮の神主である守山河内（広豊）からは橘家神道を学びました。国学は、藩校時習館教授であり肥後国学の基礎を築いた高本紫溟に学び、帆足長秋の書籍を通じて本居宣長を知ります。

京都では、浦上玉堂に琴を、長野清良に有職故実を、伊勢貞春に武家故実を学びました。高本紫溟の勧めにより伊勢へ赴き、本居宣長の門人となり直接指導を受け、伊勢と肥後を4往復する間に高弟となりました。本居宣長の『古事記伝』の成果に基づき、宣長と共同で『訂正古訓古事記』を編集しました。これは、『古事記』の本文および訓みの定本として知られています。

江戸にも赴き、塙保己一による『群書類従』の編纂事業に関わりました。また、賀茂真淵門下の加藤千蔭、村田春海らとも交流を深めました。

万葉集の研究にも力を注ぎ、「万葉集佳調」「万葉集佳調拾遺」などの選集を編纂しました。編著書は「肥後事蹟考証」「田廬集」など36冊にのぼります。

長瀬真幸は、文化・文政期における九州三大国学者の一人として知られています。彼の国学に対する考え方は、「古語を解明して古事を究明し、上代の神ながらの道を明らかにする学問である」というものでした。

中島広足、林桜園、和田厳足など、多くの門下生を育成しました。

大正5年（1916年）には、その功績が認められ正五位が追贈されました。

墓は熊本市西区の本妙寺山中の花園墓地にあり、高本紫溟の墓のそばに位置しています。

参考文献

加藤秀俊ほか編纂『人づくり風土記43 熊本』農山漁村文化協会、1990
熊本県立大学文学部日本語日本文学科 川平敏文編『肥後の和学者 上妻博之郷土史論集1』熊本県立大学文学部日本語日本文学研究室発行、2009

関連項目

本居宣長
林桜園

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