長谷寺 (下呂市)

岐阜県下呂市小坂町に佇む古刹、長谷寺

長谷寺（ちょうこくじ）は、岐阜県下呂市小坂町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を吉田山と称し、観世音菩薩を本尊としています。この寺は、益田西国三十三霊場の28番札所としても知られ、多くの巡礼者が訪れます。

歴史

長谷寺の創建は古く、伝説によれば天平年間に、行基菩薩によって開かれたと伝えられています。その後、康永元年（1342年）に源誠によって再興されましたが、長い年月を経て荒廃しました。寛永年間（1624年～1644年）に、龍澤山禅昌寺7世の香道三興によって中興され、現在の寺観が形成されました。しかし、寛政10年（1798年）の大火により、本尊を除いてほとんどの堂宇が焼失してしまいました。現在の建物は、天保11年（1840年）に再建されたものです。

文化財

長谷寺には、歴史的価値の高い文化財が数多く残されています。山門の楼上には、寛政10年の火災で奇跡的に燃え残った仁王像が安置されています。また、地元に伝わる力持小太郎が修行に使ったとされる石も残されており、この地が古くから信仰の場であったことを物語っています。

絵画

紙本着色仏涅槃図: 釈迦の入滅を描いた仏画で、その色彩と筆致は見る者を圧倒します。制作年代は不明ですが、その保存状態の良さから、当時の仏教美術を研究する上で貴重な資料となっています。
紙本着色六道図: 人々が輪廻転生する六つの世界を描いた絵画で、仏教的な世界観を視覚的に表現しています。こちらも年代は不詳ですが、その内容は当時の人々の信仰や道徳観を知る上で重要です。
絵天井: 幕末から明治初頭にかけて制作された絵天井は、色彩豊かで、当時の職人たちの技術の高さを物語っています。

彫刻

金剛力士像: 天保14年（1843年）に制作された金剛力士像は、山門を守護するように安置されています。その力強い姿は、寺を訪れる人々を魅了します。
仁王像: 火災から生き残った仁王像は、山門楼上に祀られており、歴史の重みを感じさせます。
懸魚: 楼門を飾る懸魚は、天保11年のものであり、その精緻な彫刻は、当時の建築技術の高さを物語っています。

工芸品

胎内仏: 年代不詳の胎内仏は、その神秘的な存在感で多くの人々を惹きつけます。

その他

墓碑: 貞和元年（1345年）の銘がある墓碑は、寺の歴史を物語る貴重な史跡です。
小坂観音堂記録: 元禄11年（1698年）の古文書である小坂観音堂記録は、当時の寺の様子や地域の信仰を知る上で重要な資料です。

市指定文化財

長谷寺の文化財は、その価値が認められ、下呂市によって以下のものが指定文化財に指定されています。

長谷寺楼門: 天保11年（1840年）建築の楼門は、1980年（昭和55年）1月14日に指定されました。
長谷寺楼門の懸魚: 楼門を飾る懸魚は、1975年（昭和50年）12月23日に指定されました。
長谷寺の金剛力士立像: 天保14年（1843年）に制作された金剛力士像は、1980年（昭和55年）1月14日に指定されました。
長谷寺の胎内仏: 年代不詳の胎内仏は、1980年（昭和55年）1月14日に指定されました。
長谷寺蔵紙本着色仏涅槃図: 年代不詳の仏涅槃図は、1980年（昭和55年）1月14日に指定されました。
長谷寺蔵紙本着色六道図: 年代不詳の六道図は、1980年（昭和55年）1月14日に指定されました。
長谷寺の絵天井: 江戸後期から明治初期にかけて制作された絵天井は、1980年（昭和55年）1月14日に指定されました。
長谷寺の小坂観音堂記録: 元禄11年（1698年）の古文書は、1980年（昭和55年）1月14日に指定されました。
長谷寺の墓碑: 貞和元年（1345年）の墓碑は、1977年（昭和52年）1月31日に指定されました。

長谷寺は、その歴史と文化財の豊かさから、訪れる人々に深い感動と安らぎを与えてくれるでしょう。

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