長野工業専門学校 (旧制)

長野工業専門学校の歴史と概要

長野工業専門学校は、1943年に設立された官立の専門学校で、もともとは「長野高等工業学校」という名称でした。設立当初の目的は、第二次世界大戦の影響で工業技術者が不足する中、地域の工業力を強化することでした。その結果、この学校は第25の官立高等工業学校として位置づけられ、多くの人材を育てる基盤となりました。

設立の背景と沿革

日中戦争中の1939年には官立高等工業学校の新設が計画され、長野県内では長野市、松本市、岡谷市が誘致活動を行いましたが、最初の設置地は北海道や関西などに決まりました。しかし、長野県では県議会が高工設置の意見書を可決し、地域の企業も大きな支援を行いました。このような熱意が実を結び、1942年に長野市への設置が決定しました。

1943年3月30日、長野高等工業学校が正式に設立され、5つの学科（機械科、精密機械科、航空工学科、電気科、通信工学科）が設けられました。入学式は1943年5月10日に行われ、同年には名称が長野工業専門学校に変更されました。この変更に伴い、新たな学科体系が整えられ、機械科や航空機科、電気科など、複数の専門分野が地域の需要に応じて設立されました。

戦後の展開

戦争が終わり、長野工業専門学校は新たな課題に直面しました。1945年には第1回卒業生を送り出しましたが、その後、GHQからの指令により航空機科が廃止されるなど、厳しい状況が続きました。1946年には新校舎が焼失する不幸な出来事もあり、学校の存続が危ぶまれることもありました。しかし、地域からの強力な支援やデモ活動により学校の存続が決まりました。

学校はその後も拡張を続け、1949年には新制信州大学が設立され、長野工業専門学校は信州大学工学部の母体として統合されました。このように、長野工業専門学校は単なる専門学校から、地域の高等教育機関の一部として重要な役割を果たすこととなりました。

現在の役割

長野工業専門学校の設立時から続く教育の精神は、信州大学工学部に受け継がれています。今では、さまざまな分野の工業技術者を育成する専門の教育機関として、多くの卒業生を輩出し続けています。著名な出身者には服飾デザイナーの君島一郎氏などがいます。校舎は長野市にあり、長野県工業技術総合センターとしても機能しています。

このように、長野工業専門学校は、地域の工業技術者の育成に寄与しながら、長い歴史を持つ教育機関として、今もなお多くの人々に影響を与えています。

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