門脇佳吉

門脇佳吉の生涯と業績

略歴

門脇佳吉（かどわき かきち、1926年1月6日 - 2017年7月27日）は、日本の著名な神学者及び宗教学者であり、イエズス会の司祭でもあります。上智大学の名誉教授として、多くの学生に影響を与えました。彼は別名として「大基」とも知られています。

北海道旭川市で生まれた門脇は、1948年に東京帝国大学工学部応用化学科を卒業した後、上智大学大学院に進学しました。そこで文学修士及び神学修士を取得し、1964年にはローマ・グレゴリアン大学にてPh.D.を取得しました。さらに、フォーダム大学では心理学を、レーゲンスブルク大学では神秘思想の巨匠マイスター・エックハルトの研究に取り組みました。1964年に上智大学教授となり、1996年には定年を迎え名誉教授に就任しました。

また、大森曹玄老師（当時の花園大学の学長）から嗣法を受け、「道の共同体」の師家として知られるようになりました。彼は禅とキリスト教の比較研究を行う中で、両者からの深い洞察を活かし、宗教間の対話を模索しました。2006年の11月には瑞宝小綬章を受章し、その業績が広く認められました。

主要著書と研究

門脇佳吉は多数の著書を執筆し、禅的思考とキリスト教の深化した理解を結びつけることを目指しました。彼の代表的な著作には以下のものがあります。

• - 『対話に関する12章 古典への還帰』（1970年）
• - 『公案と聖書の身読 一キリスト者の参禅体験』（1977年）
• - 『呼吸と共に祈るロザリオ 日本的な唱え方』（1984年）
• - 『道の形而上学 芭蕉・道元・イエス』（1990年）
• - 『禅仏教とキリスト教神秘主義』（1991年）
• - 『日本の宗教とキリストの道』（1997年）

これらの著作では、彼の深い哲学的洞察と、東西の宗教間での比較研究が展開されています。また、近年の著作には『正法眼蔵』の研究を通じての形而上学的アプローチも含まれています。

共編著と翻訳

門脇の研究は単独の著書にとどまらず、共編著にも力を注ぎました。例えば、1973年に発刊された『宗教の対話 キリスト教と日本の諸宗教』や、1975年の『禅とキリスト教 瞑想=自由への道』などがあります。これらの作品を通じて、他の研究者と共に宗教的対話の重要性を訴えました。

また、彼は翻訳家としても活躍し、イグナチオ・デ・ロヨラの著作や、「愛の深層心理」など多くの重要な作品を日本語に訳しました。特に、ロヨラの『霊操』は彼自身の精神的成長にも寄与したことで知られています。

影響と功績

門脇佳吉の研究は、日本の宗教界においても大きな影響を与えました。彼は禅とキリスト教との架け橋となるべく努力し、宗教間の対話の重要性を強調しました。その研究は、単に学術的な視点に留まらず、信仰を通じた人間の生き方や倫理観にも影響を与えています。

彼の業績は、今後も多くの学問や宗教的探求において重要な参考文献として位置付けられることでしょう。その生涯は、宗教と心理学、哲学が交差する豊かな知見を提供するものです。

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