閃光電球

閃光電球（せんこうでんきゅう）について

閃光電球は、フラッシュバルブとも呼ばれ、エレクトロニックフラッシュ（ストロボ）が広く普及する以前に用いられていた写真撮影用の照明装置です。この装置は、シャッターと同調させて発光するためのもので、通常は電流を通して発光しますが、特定のものは機械的衝撃によっても発光します。

構造と仕組み

閃光電球は小型の発光器（フラッシュガン）に取り付けて使用され、発光には電池とコンデンサを使用します。カメラとシンクロケーブルで接続することで、シャッターと同期し、瞬時に発光します。これにより、明るい瞬間が必要な撮影状況での利便性が向上しました。

閃光電球の最大の特長は、光を得るために金属を燃やすメカニズムにあり、具体的にはガラスのバルブ内に発光材と酸素を封入し、タングステンのフィラメントを加熱することで発光します。この際、バルブ内部の圧力が高まり、ガラスがひび割れることもあります。そのため、閃光電球は使い捨てであり、撮影ごとに新しいバルブに交換する必要があります。また、発光直後は非常に高温になるため、取り扱いには慎重さが求められます。

さまざまなタイプ

閃光電球にもいくつかの異なる形式があります。「フラッシュキューブ」は四つの電球をまとめた立方体であり、一度使用すると90度回転させて使うことができます。「マジキューブ」は電源不要で使用できるタイプで、発光の仕組みが異なります。「フラッシュバー」は10個の電球が順番に発光する構造で、ポラロイドカメラに広く用いられました。

さらに、「フリップフラッシュ」は赤目現象や発光回数の少なさを改善した型です。上下に配置された電球によって、8回から10回の発光が可能で、発光と撮影の距離を確保することで赤目現象を軽減しています。

歴史

閃光電球の誕生は1929年にさかのぼり、ドイツのハウフが世界初の閃光電球を発売しました。それ以前は閃光粉を利用するため、発光には助手が必要でしたが、電気で発光する閃光電球の登場により、これが不要になりました。続いて、日本の東京電気（現・東芝）や米ゼネラル・エレクトリックなどが市場に参入し、報道撮影などで重用されるようになりました。

戦後は安価で小型の製品が次々と登場し、特にアマチュアの写真家によるフラッシュ撮影が広がりました。しかし、1960年代からエレクトロニックフラッシュが普及し始め、閃光電球は徐々にその役割を終えていきました。それでも、高光量が必要な撮影では、特定の状況で閃光電球が引き続き使用されました。

分類と仕様

閃光電球は、発光速度やコーティングの色、取り付け規格によって様々に分類されます。スイッチを入れてから最大光量に達するまでの時間で、F級やFP級、M級などのタイプがあります。さらに、コーティングの色によって光温度が異なり、モノクロ撮影とカラーフィルムでの適応性が重要です。
また、取り付け規格としてオールグラスやスワンベース、エジソンベースがあり、互換性のある製品が必要です。

主要メーカーと今後

閃光電球の生産には、松下電器（現パナソニック）や東芝、ゼネラル・エレクトリックなどの企業が参加していました。現在、商業的な需要は薄れてきていますが、アマチュアや特殊用途での利用は根強く残っています。閃光電球はカメラ技術の変遷の一部を担った重要なアイテムであり、今後もこだわりを持つ写真愛好者に支持され続けるでしょう。

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