閃電 (航空機)

閃電（せんでん）

閃電は、太平洋戦争初期から中期にかけて日本海軍において設計された局地戦闘機である。この機体は、連合国側からは「ルーク」というコードネームで呼ばれていた。設計は三菱重工業が担当し、特に高い性能を求められた。

計画の背景と目標

1939年、海軍が新しい局地戦闘機の開発を企画した際に、要求された性能は非常に厳格だった。具体的には、最高速度750 km以上、8,000 mの高度に10分で到達する上昇力、武装としては30mm機関銃が1門、20mm機関銃が2門、そして30 kgまたは60 kgの爆弾を2発搭載できることが求められていた。これらの要求を満たすため、当初は推進式の双胴機体の採用が考えられた。

推進式の機体は、速度向上や武装の集中配置、さらには前方視界の良さといった能力の向上をもたらす一方で、プロペラ位置が後方にあるためにパイロットの脱出の危険性やエンジンの冷却問題といった課題も孕んでいた。

機体の設計

閃電の主翼は中翼配置であり、胴体との干渉抵抗が小さく設計されていた。胴体の直径は1.7mにも達し、強力な円框が主桁に代わって曲げ強度を支えるという複合的な構造を持っていた。このような設計は、類似の機体であるキ98にみられるように、発動機を通すために設計が工夫されていた。

発動機には三菱が開発中の高高度用エンジン、ハ43-41型を採用する計画であった。また、エンジン冷却については、胴体を一周するように空気取入口を設けることで対応した。さらに、水平尾翼はプロペラの気流を逃すために主翼よりも高い位置に設計された。

計画の変遷と困難

機体の名称としては、初めはM-70の略符号「J4M1」で始まったが、1943年の夏以降は試製閃電と改称された。設計段階においては風防の形状も変更され、胴体の上に突出した形となった。

エンジンの冷却については試験が奏功したものの、肝心のエンジン開発が遅れ、風洞試験の結果として尾翼の異常振動が確認されるなど、実用化は困難に直面した。これらの問題解決には多くの時間がかかり、さらに戦局の変化や同じく推進式機体として研究が進む震電の将来性の見通しが立ったため、1944年10月には閃電の試作が中止されることとなった。

技術的な諸元

結論

閃電は、高速を目指した新技術を取り入れた機体であったが、開発の遅れによって実用化に至ることはなかった。その後、同様の機体である震電も多くの問題を抱えながら試験飛行中に終戦を迎えることとなる。

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