閉鎖病棟

閉鎖病棟とは

閉鎖病棟（へいさびょうとう）とは、精神科病院において、出入り口が常に施錠され、病院の職員に解錠を依頼しない限り、入院中の患者や面会者が自由に出入りできない特別な病棟のことを指します。この病棟は、開放的な環境ではなく、制限されたアクセスによって特定の病状の患者を守る役割を果たしています。一般的に、出入りが自由でない時間が約8時間未満の間であれば、閉鎖病棟と見なされることもあります。

対象とされる患者

通常、閉鎖病棟への入院患者は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく措置入院や医療保護入院といった法的手続きにより、強制的に入院させられるケースが大半です。そのため、任意入院の患者は原則として開放病棟に入ることが一般的です。しかし、入院患者が特に不安を感じている場合、または他の理由で希望する場合には、任意入院でも閉鎖病棟への入院が許可されることがあります。最近では、コロナ禍の影響で、通常の病院でも外出が厳しく制限されており、そのような施設は「門と鍵のない閉鎖病棟」と形容されています。

隔離について

精神科における入院治療には、行動制限の一環で「隔離」という手段があります。隔離とは、患者を他の患者から遮断するために、本人の意思に反して内部から出られないようにすることを言います。この行為は、厚生省告示第129号で定義されており、患者の安全や治療を目的としたもので、制裁として使用してはなりません。隔離は主に、他の患者に対して危害を及ぼす可能性がある場合や、自傷行為が切迫している場合に行われることが多く、精神保健指定医の指示のもとで実施されます。隔離は、適切な医療と患者の保護を確保するために実施される重要な手段とされています。

文化や観察室を完備した保護室では、患者の行動を外部から観察できる体制が整っています。保護室の患者にも日々の診察が求められ、一定の規則が設けられています。

学術的視点

反精神医学の観点からは、閉鎖病棟そのものの存在に疑問を呈し、これが実際に精神病者を増やす要因となると指摘されています。著名な社会学者ゴッフマンも、全制的施設における職員と入所者との力関係の不均衡による入所者の無力化を警告しています。冷静な評価が必要な場面です。

ドイツの研究と転帰

ドイツで行われた長期にわたる観察研究によると、閉鎖病棟への隔離が自殺企図や失踪を防ぐ効果がなく、開放病棟の方がそのリスクを低減できることが示されています。

呼称の問題

閉鎖病棟という用語については、富士急ハイランドが開業したお化け屋敷「戦慄の閉鎖病棟」の名称が問題視され、患者の家族からの要請で「戦慄迷宮」に変更された事例があります。また、ゲームにおける「閉鎖病棟」という表現に対しても、日本精神科病院協会が異議を唱え、社会的な偏見を助長する危険性に警鐘を鳴らしています。

事件・事故

過去には、宮崎脳病院で発生した火災事故があり、多くの入院患者が犠牲となる痛ましい事件もありました。このような事例は閉鎖病棟の安全管理について再考を促すものでもあります。

終わりに

閉鎖病棟は精神医療の一部として重要な役割を果たしていますが、その運営や利用にあたっては、多角的な視点での議論が必要です。精神科病院全体の質を向上させるためには、さまざまな意見や考え方が集まることが重要です。

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