開南丸

開南丸（かいなんまる）

開南丸は、白瀬矗が率いる南極探検のために用いられた船です。命名は、海軍の偉大な指導者である東郷平八郎によるものです。また、船の主旗は三宅雪嶺が考案しました。

基本情報

• - 総トン数: 204トン
• - 長さ: 100フィート（約33.48メートル）
• - 船幅: 25.9フィート（約7.85メートル）
• - 深さ: 12.9フィート（約3.89メートル）
• - 機関出力: 18馬力（125ccクラスのバイクのエンジンと同等）

船歴

開南丸は元々、郡司成忠の所有する漁獲物運搬船で、名を「第二報效丸」として1910年3月に大湊の市川造船所で竣工されました。この船は木製で、3本のマストを持ち、総トン数は199トンでした。白瀬はこの船を譲り受けるため郡司に頼み込み、後援会が2万5000円を支払って取得しました。その後、石川島造船所で船体の補強工事と蒸気機関の搭載が行われました。

1910年11月21日、開南丸は東郷平八郎によって正式に命名され、11月29日には芝浦港を出発しました。この航海中、途中で異常が発生し、日本本土から消息不明となる時期もありました。その際、南極探検隊の後援会長である大隈重信が作家の川面凡児に相談したとする説があります。

南極探険

開南丸は、1911年に南極探検のための航海を行い、1912年1月16日には南極ロス海クジラ湾に到着しました。白瀬隊長率いる探検隊は、1月20日に南極点へ向かい、28日午後0時20分に南緯80度05分、西経156度37分地点に到達。探検隊はこの地点を「大和雪原」と命名しました。

探検を終えた開南丸は、6月20日に無事に芝浦港に帰港しました。しかし、次の年である1913年10月9日に、東京へ向けての航海中に三重県の菅島灯台の沖で暗礁に乗り上げ、沈没してしまいました。幸いなことに乗組員は全員無事に救助されました。

航路の意義

開南丸の南極探検は、日本における南極研究の重要な一歩であり、この航海は後に続く南極探検や観測事業に対する道筋を築く重要な出来事となりました。今後の南極探検に向けた基礎を築いた船として、開南丸の役割は決して忘れられることはありません。

関連項目

• - 宗谷: 初代南極観測船であり、開南丸の南極探検から45年後の1957年に日本の南極観測事業を開始する礎を築きました。
• - 開南中学校: 沖縄県に存在した私立の旧制中学校で、開南丸に因んで命名されましたが、沖縄戦で廃校となりました。
• - 開南湾: 南極の白瀬海岸に位置し、開南丸がロス棚氷に着陸したことから名付けられています。

参考文献

このように、開南丸の歴史は、南極探検や日本の航海の重要な一部として記録されています。詳しくは、小島敏男の『南極観測船物語　白瀬探検隊から現在まで』（成山堂書店、2005年）を参照してください。

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