開国

開国の概念と歴史的背景

開国とは何か

「開国」という言葉は、一般的には外国との交流を行うことを指し、特に「鎖国」の対義語として理解されています。大日本帝国では、国の基本理念として開国進取が掲げられ、日本の国際的関係の原則として機能していました。この開国は歴史上、単に交易の開始を意味するだけでなく、国のアイデンティティや文明の進展に関連した深い意味合いを持っていました。

開国の語源には、同時に「建国」や「開拓」といった意味も含まれており、この点については大島明秀の研究が特筆されます。彼によると、この用語の背景には「文明的に進んでいるか遅れているか」に対する視点が含まれていて、日本は歴史書の中で他国、特に中国や朝鮮の歴史を「鎖国」や「開国」として描写していったことがわかります。また、丸山眞男は『忠誠と反逆』において「第二の開国」論を提唱し、松本健一はこれを受けて「第三の開国」論を主張しました。

中国の開国と帝国主義

中国の明王朝（1368年 - 1644年）は、海禁政策を採り、対外貿易を厳しく制限していました。清朝（1616年 - 1912年）も同様の姿勢を見せたものの、特に台湾の鄭成功に対する政策として、徐々に海禁を緩和しました。18世紀に入ると、清朝は広州を開港し、西洋諸国との貿易を許可するようになります。この広東貿易の盛況は、後にアヘン戦争（1840年 - 1842年）などの歴史的な出来事につながっていきます。

その後も中国は外国列強によって様々な不平等条約を結ばねばならず、香港や台湾の割譲や、各国の租借地の設定などを余儀なくされました。このようにして、中国は帝国主義の渦中に巻き込まれていきます。

日本の鎖国から開国への道

一方、日本は江戸時代に200年以上にわたり鎖国を行い、対外的には長崎の出島のみが開かれていました。出島での貿易を通して、日本は必要最低限の外部情報を得ていましたが、実際に国際社会との接触はほとんどありませんでした。18世紀後半からは異国船の目撃が増え、幕府はこれへの対策を模索するようになりました。

1844年にはオランダから開国を促す親書が発表され、1846年にはアメリカの艦隊司令官が通商を求めるなど、国際的な圧力が高まりました。しかし当時の幕府はこれを拒み続けました。そうした中で、様々な国際的な衝突や事件が発生し、本格的な開国の動きが次第に強まりました。

特に、アメリカのマシュー・ペリーが1853年に来航し、日本に開国を求めたことがきっかけで、状況は急速に変わり始めます。1854年には日米和親条約が結ばれ、続いて他諸国との条約も締結されることとなります。これにより日本は、本格的に国際貿易の舞台に参加するようになっていきます。

朝鮮の開国と国際関係

朝鮮においても、李氏朝鮮時代の1832年以降、欧米の勢力が押し寄せる中で開国の必要性が高まりました。1866年のジェネラル・シャーマン号事件や、1876年の江華島条約によって、朝鮮も開国を余儀なくされました。これにより、朝鮮は国際的な舞台への第一歩を踏み出しましたが、その背後には帝国主義の影響が色濃く残っていました。

このように、「開国」は単なる国際交流の開始に留まらず、それぞれの国の歴史、文化、政治的条件に深く影響されています。開国の過程で、各国は内政の改革や外部への開放に取り組むと同時に、新たな国際関係の形成とその課題に直面していくことになるのです。

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