開成高校なりすまし事件

開成高校なりすまし事件

2020年、名門・開成高校で前代未聞の学業不正事件が発生しました。入学試験に合格した生徒とは別の人物が、合格者になりすまして学校に通っていたというものです。

事件の概要

2020年9月30日、開成高校は、入学試験の合格者とは別の人物が学校に通っていた事実を発表しました。合格者は正規の手続きを済ませていたものの、実際には別の高校に入学しており、開成高校には別人がなりすまして通っていたのです。

合格者は2月10日に行われた入学試験の全科目を受験し、合格していました。2月16日には合格者説明会にも出席しています。しかし、コロナ禍の影響で入学後の授業はオンライン形式となり、6月下旬に対面授業が再開されるまで、なりすましは発覚しませんでした。中学校から高校への入学時に送付されるはずの指導要録が、7月下旬になっても開成高校に届いていないことを不審に思い調査した結果、合格者は別の高校に通っていることが判明。これにより、開成高校に在籍していた生徒が別人であるという事実が明らかになりました。なお、2020年度の入学式はコロナ禍のため中止となっていました。

事件後の対応

開成高校は、在籍していた生徒（合格者）を除籍処分とし、なりすまして通学していた人物を構内立ち入り禁止処分としました。両者ともに未成年であったことから、詳細な関係性については公表されていません。開成高校は再発防止策を講じるとしています。

専門家の見解

慶應義塾大学特任教授の若新雄純氏は、手続き上の人物と実際に通っている人物が一致しているかどうかの確認は、容易ではないと指摘しています。特に、コロナ禍でのオンライン授業では本人確認が難しく、別人が授業を受けていても気づきにくい状況だったと述べています。若新氏は、なりすまし犯はオンライン授業期間中に教員との関係を築き、対面授業再開後に登校してきたのではないかと推測しています。

学校側のコメント

開成高校の校長は、記者からの質問に対し、未成年者の事件であることを理由に詳しい説明を避けました。校長は自身を性善説で物事を考えていたと述べ、今回の事件は「まさか」という気持ちであったと語っています。また、この事件により開成高校に入学できなかった生徒がいるという捉え方はしないとし、退学者の繰り上げ合格も行わない方針を示しました。

事件の教訓

この事件は、学校側の生徒管理体制の甘さを露呈しました。特に、コロナ禍という特殊な状況下でのオンライン授業における本人確認の重要性、そして対面授業再開後の生徒管理の重要性を浮き彫りにしました。また、性善説だけでは対応できない、悪意を持った第三者の存在を想定した学校運営が必要であることを示唆しています。

この事件は、学業における不正行為の新たな形を示したと言えるでしょう。今後の学校教育において、不正行為に対するより一層の警戒と、それに対応できる体制の構築が不可欠です。

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