開田博勝

開田博勝（ひらきだ ひろかつ）は、1975年2月10日に福岡県柳川市で生まれた、日本の元社会人野球選手であり、指導者です。主に外野手として活躍し、引退後は監督としてチームを率いました。

野球のキャリアは柳川高校で始まりました。2年生だった1991年夏には、第73回全国高等学校野球選手権大会にチームの一員として出場。この大会では、2回戦から驚異的な6打席連続安打を放つなど打撃でチームを牽引しました。チームも勢いに乗り、2回戦で木立章成や井上浩司がいた専大北上高校を、続く3回戦では岸川雄二擁する佐賀学園高校を打ち破り、見事ベスト8に進出する快挙を成し遂げました。高校卒業後は法政大学に進学し、硬式野球部に入部。大学時代には副島孔太氏と同期としてプレーし、3年生時にはチームが大学選手権で優勝を経験するなど、輝かしい実績を積みました。

1997年に三菱重工長崎に入社し、社会人野球の世界へ足を踏み入れました。入社3年目の1999年にはチームの主将を任され、その俊足を活かすべく主に2番打者として打線を牽引。この年、チームは都市対抗野球大会で準優勝という素晴らしい成績を収めました。翌2000年にはその活躍が認められ、シドニーオリンピックの野球日本代表候補に選出され、最終選考合宿にも参加しましたが、惜しくも代表入りは果たせませんでした。この時点での社会人公式戦通算成績は68試合出場で打率.330、10本塁打を記録しており、打撃力も高く評価されていました。同年秋のプロ野球ドラフト会議では、オリックスから5位指名を受けました。しかし、交渉の過程で契約金を含めた条件が事前の話から一切変更されなかったことが判明し、開田氏側も提示条件に納得がいかず、最終的にこの指名を拒否するという異例の選択をしました。

2001年、プロ入りを断念した開田氏は、主将の重責を後任に託し、一選手としてのプレーに専念することを決意。この決断が功を奏し、春先から好調なスタートを切ります。オープン戦では11試合で41打数20安打、5本塁打と驚異的な成績を残し、その打棒を買われて1番打者に起用されました。特に同年の日本選手権では目覚ましい活躍を見せ、出場した全試合で第1打席に出塁。決勝戦では5打数4安打を記録するなど、大会を通じて打率.667という高打率を残し、首位打者賞を獲得しました。チームもこの開田氏の活躍もあり、見事日本選手権で優勝を果たしました。しかし、2002年に入ると脇腹痛に悩まされ、都市対抗予選ではチーム内2位の打率.429を記録しながらも、満身創痍の状態でした。本大会では怪我の影響もあり、チームも初戦で敗退という結果に終わりました。

2003年には新たな試練が訪れます。2月下旬に右手首を骨折してしまうのです。懸命なリハビリを経て復帰するも、怪我を無意識にかばってしまう感覚に苦しみ、思うようなパフォーマンスができない時期が続きました。それでも徐々に復調し、その年の都市対抗の地区代表決定戦では本塁打を放つなど、復活の兆しを見せました。翌2004年10月には、さらなる怪我として右ひじ靭帯の移植手術を受ける大手術を経験。長期のリハビリ期間を経て、2005年の都市対抗地区予選では再び1番打者としてチームを牽引し、全試合で1打席目に出塁を果たすなど、打率.353を記録し完全復活を印象づけました。しかし、2006年の都市対抗本大会1回戦で、右翼の守備中に中堅手と交錯するというアクシデントに見舞われ、左ひざの靭帯を断裂するという選手生命に関わる重傷を負ってしまいます。この怪我により、一時は現役引退も真剣に検討しましたが、再び不屈の精神で過酷なリハビリに励みました。その努力が実を結び、2007年の日本選手権予選で、実に1年2か月ぶりに公式戦のグラウンドに立つことができました。度重なる大怪我を乗り越えてプレーを続けた開田氏でしたが、2008年限りで現役を引退することを決断しました。

現役引退後は、選手として長年所属した三菱重工長崎の監督に就任。2011年12月から2019年まで、チームの指揮官として若手選手の育成やチーム強化に尽力しました。

開田氏の弟である開田成幸氏も社会人野球の指導者であり、2020年からはHonda硬式野球部の監督を務めています。兄弟揃って社会人野球界で重要な役割を担っています。

開田博勝氏は、高校、大学、社会人と各カテゴリーで輝かしい実績を残し、特に社会人野球では度重なる怪我を乗り越えながら、日本選手権優勝や都市対抗準優勝に貢献した屈指の外野手でした。その経験は、引退後の監督としても活かされたことでしょう。社会人野球の発展に貢献した一人として、その功績は語り継がれるでしょう。

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