関口宏のもう一度!近現代史

BS-TBSで2019年10月12日から2022年3月26日まで、毎週土曜日の正午から約1時間にわたって放送されていた教養番組に、『関口宏のもう一度！近現代史』（せきぐちひろしのもういちど！きんげんだいし）があります。この番組は、司会者である関口宏氏の名前を冠した歴史解説プログラムでした。

番組の主なテーマは、近代日本の幕開けを告げた明治時代の大政奉還から、国家が軍国主義へと傾斜し、第二次世界大戦での敗北を迎えるまでの激動の歴史です。単に出来事を羅列するのではなく、厳密な時系列に沿って進行しながら、当時の公文書や記録、写真など多岐にわたる史料を詳細に分析し、過去の出来事を深く掘り下げていきます。

この歴史探求の旅には、パートナーとしてノンフィクション作家の保阪正康氏が加わりました。近現代史研究の第一人者である保阪氏の専門的な知見と、関口宏氏の問いかけや視点を通して、視聴者は明治以降の日本の歩みを「もう一度」じっくりと学び直すことができます。番組は、関口氏と保阪氏が向かい合って対談する形式を基本として進行し、ナレーションはTBSアナウンサーの堀井美香氏が担当しました。

2020年初頭から世界的に拡大した新型コロナウイルスのパンデミックは、この番組の制作にも大きな影響を与えました。特に、日本国内での緊急事態宣言発令期間中は、出演者やスタッフが一堂に会しての制作・収録が困難となり、一時的な中断を余儀なくされました。この危機を乗り越えるため、番組は過去の放送内容をテーマ別に再構成した「明治総集編」を制作・放送し、困難な状況下での番組継続を実現しました。

緊急事態宣言解除後も予断を許さない状況が続いたため、続く大正時代を取り上げる回からは、関口氏と保阪氏がそれぞれ別の場所からオンラインで接続するリモート形式での収録が採用されました。これまでスタジオで向かい合って対談していたスタイルから一転、リモート収録では、歴史的事象をまとめた図や資料などがデジタルフリップとして画面中央に大きく表示される形式が多用されました。これは、制作スタッフがテレワーク環境下で番組を成立させるために工夫を凝らした跡であり、リモート収録ならではの特色となりました。このリモート収録形式は、大正時代を取り上げた一部の回で実施されました。

感染状況が落ち着き、十分な感染予防対策が講じられるようになってからは、書斎風のスタジオセットでの対面収録が再開されました。この際、飛沫感染を防ぐため、関口氏と保阪氏の間には距離を確保した上で大型の透明なパーテーションが設置され、このスタイルで番組終了まで収録が続けられました。

番組の制作は、BS-TBSが製作著作となり、TBSスパークル、ゴッズダイナミックワールド、三桂などが制作協力を行いました。構成作家、撮影、照明、音声、編集、MA、音響、ディレクター、プロデューサーなど、多くの専門スタッフが制作を支えました。

本番組の内容に関連する書籍として、関口宏氏と保阪正康氏の共著による番組公式書籍も複数出版されています。

本番組は、明治から終戦までの日本の近現代史を、専門家の解説と豊富な史料を通して丁寧にたどり、歴史に対する理解を深める貴重な機会を提供しました。その深い洞察と分かりやすい解説は、多くの視聴者に支持されました。

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