関山貝塚

関山貝塚：縄文前期の息吹を伝える貝塚

関山貝塚は、埼玉県蓮田市関山一丁目周辺に位置する、縄文時代前期（約6500年前）の貝塚です。綾瀬川左岸の台地南西縁、標高15mの場所にあり、現在の水田面との比高差は約8mとなっています。この貝塚は、関東地方における縄文前期の土器型式である「関山式土器」の標式遺跡として、学術的にも非常に重要な位置を占めています。

貝塚の様相

発掘調査の結果、貝塚からは大量の貝類が出土しており、その内訳はハイガイが77.4%、ヤマトシジミが15.7%と、この2種類が大部分を占めています。貝層の中からは、獣骨、鳥骨、魚骨といった動物の骨のほか、クルミなどの植物も発見されており、当時の人々の食生活や自然環境を知る上で貴重な資料となっています。

関山I式土器の一括資料は、その学術的価値の高さから、埼玉県の指定文化財に指定されています。

学史における関山貝塚

関山貝塚は、明治時代からその存在が知られていましたが、1928年（昭和3年）に大山史前学研究所が行った発掘調査によって、出土した土器が「蓮田式」として位置づけられたことで、注目を集めるようになりました。その後、1938年（昭和13年）に山内清男によって「蓮田式」が細分化され、「関山式」が提唱されるなど、日本の考古学研究において重要な役割を果たしてきました。

1989年（平成元年）の調査では、貝塚が6カ所確認されており、その規模の大きさも改めて認識されています。

現在の関山貝塚

関山貝塚は現在、埼玉県選定重要遺跡として保護されており、その歴史的価値が評価されています。縄文時代の蓮田地域における人々の生活や文化を伝える貴重な遺跡として、今後も保存・活用が期待されています。

参考文献

大塚初重、桜井清彦、鈴木公雄編『日本古代遺跡事典』吉川弘文館、1995年。ISBN 4-642-07721-9

関連情報

縄文時代の蓮田 - 蓮田市ホームページ
* 関山貝塚 - はすだ観光協会

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