関本忠弘

関本忠弘の生涯と業績

関本忠弘（せきもと ただひろ、1926年11月14日 - 2007年11月11日）は、日本の実業家および技術者として知られています。彼は1980年から1998年にかけて、日本電気株式会社（NEC）の社長と会長を務め、この期間に会社を大きく成長させました。特に、彼はNECを政府の国策企業から、世界規模のエレクトロニクスメーカーへと変貌させる役割を果たしました。

初期の経歴

兵庫県神戸市に生まれた関本は、神戸市立川池小学校を卒業後、旧制姫路高等学校を経て東京大学の理学部物理学科を専攻しました。1948年に日本電気に入社してからは、中央研究所でPCM（パルス符号変換方式）の研究に従事し、1962年には工学博士の学位を取得しました。1965年には米国コムサット社に出向し、PCMデジタル衛星通信の研究を進めました。

NECでの活躍

1974年には日本電気の取締役に就任し、1980年には社長に就任しました。彼は小林宏治会長が提唱した「C&C（Computer & Communication）」の概念を受け継ぎ、さらに「2.5次産業」という新たなビジョンを打ち出しました。これにより、NECは情報通信分野に力を入れ、PC-9800シリーズを通じて日本最大のパソコンメーカーへと成長しました。

関本のリーダーシップの下、NECのブランドは消費者に支持されるようになり、特に若者の間での人気を博しました。また、彼はマスコミとの関係を重視し、重要な製品発表の翌朝には各新聞をチェックする姿勢を見せました。

経済界での影響

1986年にはニュービジネス協議会の会長に就任し、1994年まで会長職を務めました。彼はその間に、NECの売上を1兆円未満から5兆円にまで引き上げ、1980年代後半には半導体市場でもグローバルリーダーの座に就きました。しかし、1998年には新日本製鐵会長に敗れ、経済団体連合会の会長候補から外れました。その年の防衛庁の調達問題に責任を感じて会長職を辞任し、その後は相談役に退きました。

退任後のトラブルとその後

1999年には後任の社長がハードからソフトへと路線を変更し、関本が育ててきた事業の縮小が進みました。この方針に対し、関本と社内の意見が対立し、'関本・西垣戦争'と呼ばれる派閥争いが勃発しました。2002年にはNECの執行部批判を理由に相談役を解任され、その後は財界から引退しました。

晩年と趣味

2007年に脳梗塞で亡くなるまで、囲碁を趣味とし、1981年には棋戦NECカップ囲碁トーナメントを創設しています。また、彼の業績を記した著書も多く、技術者としてだけでなく、経営者としての見識も多くの人々に影響を与えました。彼は従三位に叙せられ、その生涯を閉じました。

関本忠弘の足跡は、日本のインフォメーションテクノロジーの発展に大きく貢献したことを示しています。

もう一度検索