関東破門状 (1971年の映画)

映画『関東破門状』の詳細

『関東破門状』は、1971年7月3日に日本で公開された映画で、監督は小澤啓一、主演は渡哲也が務めました。この映画は日活制作で、ダイニチ映配が配給を担当しており、カラーでシネマスコープ（2.35:1）フォーマットでの上映となっています。全体の尺は86分に及び、渡哲也が演じる寺田次郎の人物像を中心に展開する物語が描かれています。

本作は、「関東シリーズ」の第3作であり、さらにはシリーズの最終作でもあります。他の2作品とはストーリー的に直接のつながりはないものの、渡哲也は前作と同じ名前の「寺田次郎」を演じています。ただし、設定が異なるため、観客は新たな視点から物語を楽しむことができます。渡にとって、日活制作の作品に出演した最後の機会であり、このことが映画にも特別な意味を持たせています。1965年に公開された東映の同名作品とは関係がなく、それぞれ独立した作品となっています。

ストーリーの概要

物語は関東浜野組の若衆頭であり、寺田組の組長である寺田次郎が主人公です。彼は、叔父である本家の舎弟頭・岩井の非人道的な行動に対して耐えられなくなり、ついにその命を奪う決断を下します。この際、寺田の身代わりとして組員の沢木が刑務所に入ることになるのです。浜野組の総長代理である長谷川は、この事件に怒りを抱き、寺田の破門を決議するための幹部会を開きますが、寺田に同情する中桐組の組長・中桐の反対意見によって、その議案は否決されます。

ある日、寺田組は浜野の裁定により解散させられ、寺田は中桐組に預けられることになります。しかし、長谷川は中桐組の縄張りを自分たちのものにしようと企みます。そのころ、かつての寺田組の元組員たちが、長谷川に属する新興組織・共栄会と小競り合いを起こしていました。

共栄会の組長である神崎は、寺田に謝罪を要求するために中桐組を訪れますが、中桐は神崎の真意を見抜いて彼を追い返します。そこで中桐は、暇を持て余す元組員たちのためにスナック経営を提案し、沢木の妹である玲子をその経営に加えることにしました。

一方、神崎は金融業者から資金を奪い取ってスナックの運営を脅かし、寺田に対抗して借用証を取り返すことに成功します。しかし、寺田は拷問に耐え抜いて借用証を取り戻すものの、事態はさらに混乱を極めていきます。そして、長谷川の策略によって抗争が激化し、寺田と中桐はさらなる危機に直面します。

長谷川は、寺田に対し西田会の壊滅を命じ、寺田は襲撃を試みますが、未遂に終わります。この際に起きた一連の出来事がもとで、寺田は孤立した中桐を救おうとし、共栄会に再度襲撃をかけていきます。

キャスト

本作に登場する重要なキャストは以下の通りです：

• - 寺田次郎：渡哲也
• - 中桐徹（中桐組組長）：佐藤慶
• - 沢木玲子：丘みつ子
• - ミドリ（スナック店員・タケシの恋人）：夏純子
• - 長谷川隆三（浜野組総長代理）：山本麟一
• - 田村（中桐組代貸）：長谷川明男
• - 神崎（共栄会会長）：曽根晴美

製作背景と撮影

映画の撮影は長野県の諏訪大社を初めとして、新宿の日活系劇場で行われたほか、名古屋市でもロケが行われました。このような多様なロケーションが、映画のリアリティを高めていました。

興行

公開当時、同時上映された作品は『喜劇 男の顔は人生よ』であり、観客の関心を引くために2作品があわせて上映されました。

『関東破門状』は、渡哲也の魅力と共に、日本映画の中で特有の文化や人間関係を深く理解できる作品として、今なお多くのファンに支持されています。

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