関西共栄興行

関西共栄興行株式会社：映画興行の歴史と終焉

関西共栄興行株式会社は、かつて島根県松江市のイオン松江ショッピングセンターに所在する映画館「松江東宝5」を運営していた企業です。東宝の完全子会社であり、阪急阪神東宝グループの一員でした。本社は大阪府大阪市北区堂山町にあり、登記上の本店は親会社である東宝の本社と同じ場所に置かれていました。

概要

1950年代から東宝は「百館主義」と呼ばれる方針を掲げ、全国に強力な映画館ネットワークを築き上げました。東京、名古屋、大阪、京都といった大都市の主要映画館は東宝本社が直営し、その他の主要都市の劇場は「六部興行」と呼ばれる傍系の6社が運営していました。関西共栄興行は、これらの興行網ではカバーしきれない中小都市において、共同経営の形で系列劇場を獲得し、興行網を補完する目的で1965年前後に設立された共栄興行4社のうちの1つです。

しかし、1990年代以降、シネマコンプレックス（シネコン）の台頭などにより、同社が経営する映画館は徐々に閉館していきました。同時期に設立された他の共栄興行は、2006年からの東宝グループの興行部門再編に伴い、映画興行から撤退しました。その中で関西共栄興行は、東宝グループの他社から経営が移管された劇場を中心に運営を続け、現在まで興行会社として存続してきました。しかし、その社名とは裏腹に、最終的に自社で経営する映画館は中国地方の山陰地方、島根県松江市の「松江東宝5」1館のみとなってしまいました。

2024年9月、関西共栄興行は松江東宝5を2025年1月に閉館することを発表しました。これにより、同社は直営映画館から完全に撤退することになります。

沿革

1965年2月24日 - 設立。
1995年 - 東宝株式会社の完全子会社となる。中部共栄興行株式会社を吸収合併。
2004年 - サティ東宝株式会社を吸収合併。
2008年2月1日 - 東宝関西興行から広島宝塚、東宝東日本興行より甲宝シネマの経営を移管。
2009年4月16日 - 甲宝シネマを中央興業株式会社に営業譲渡。
2011年8月31日 - 広島宝塚を閉館。
2012年8月31日 - 米子駅前SATY東宝を閉館。
2012年9月1日 - 松江SATY東宝を「松江東宝5」に改称。
2025年1月12日 - 松江東宝5を閉館。

劇場

松江東宝5：島根県松江市東朝日町、イオン松江ショッピングセンター3階。5スクリーン。1994年5月1日開館。2025年1月12日閉館。

元々は松江SATY東宝として開館し、株式会社ニチイ（後の株式会社マイカル）と東宝の出資で設立されたサティ東宝株式会社が経営していました。マイカルの経営破綻後、2004年にサティ東宝が東宝に売却され、関西共栄興行に合併されました。2012年9月1日に松江東宝5に改称。
契約更新をめぐりイオンリテールとの合意に至らず、2025年1月12日をもって閉館。跡地はイオンエンターテイメントが継承し、同年夏頃に「イオンシネマ松江（仮）」として開館予定。

かつて経営していた劇場

米子東宝会館
米子駅前SATY東宝
尼崎東宝
福知山東宝・スカラ座劇場
甲宝シネマ
広島宝塚

関西共栄興行の歴史は、日本の映画興行の変遷を映し出す鏡とも言えるでしょう。かつての隆盛から、シネコンの台頭による苦境、そして最後の映画館の閉館まで、その足跡は映画ファンにとって忘れられないものとなるはずです。

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