関野吉晴

関野吉晴（せきの よしはる、1949年1月20日 - ）は、多方面で活躍する日本の人物です。彼は探検家、人類学者、そして外科医という異色の経歴を持ち、特に人類の祖先の拡散の旅路を追った「グレートジャーニー」で広く知られています。また、教育者としても武蔵野美術大学で教鞭を執り、現在は名誉教授の称号を得ています。

東京都墨田区に生まれた関野氏は、独特の道を歩みました。一橋大学法学部を卒業後、社会学部に編入して人類学を学ぶ傍ら、自ら探検部を設立し、南米への旅を敢行しました。大学在学中にアマゾン川全流域を仲間と共に下るなど、早くから探検家としての頭角を現します。しかし、旅先で現地の人々に助けられる中で、「自分も人の役に立ちたい」という思いが芽生え、医師を目指すことを決意。一橋大学を中退し、横浜市立大学医学部に入学します。医学部時代も南米でのフィールドワークを欠かさず、卒業後は外科医として病院に勤務しながらも、探検との両立を続けます。

探検家としての主な功績には、1978年のギアナ高地への初訪問や、1981年にペルーでアンデス文明の遺跡を発見したことが挙げられます。そして彼の名を決定づけたのが、1993年から足掛け10年にわたって取り組んだ一大プロジェクト「グレートジャーニー」です。これは、人類がアフリカで誕生し、世界各地へ拡散していった道を、自らの足で辿る壮大な旅でした。この旅の様子はフジテレビでシリーズ化され、多くの人々に感動と驚きを与えました。また、国立科学博物館では、この旅をテーマにした特別展が開催されるなど、学術的、文化的にも大きな影響を与えました。

「グレートジャーニー」完結後も、日本人の起源を探る「新グレートジャーニー」にも挑戦。教育者としては、2002年から武蔵野美術大学で教授として文化人類学や人類史を講義し、探検で培った知見や哲学を学生たちに伝えてきました。彼のゼミでの活動を追ったドキュメンタリー映画『カレーライスを一から作る』も話題となりました。

探検家、人類学者、医師、そして教育者として、多角的な視点から人間や地球のあり方を探求し続ける関野氏の活動は、多くの著書やメディアを通じて発信され、様々な人々に影響を与えています。その功績は、植村直己冒険賞や旅の文化賞といった受賞歴にも表れています。

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