闘牛場

闘牛場：文化と歴史が交差する舞台

闘牛場（とうぎゅうじょう、スペイン語: plaza de toros）は、その名の通り、闘牛を行うための特別な施設です。特にスペインに多く見られますが、フランスやポルトガルといった近隣諸国、そしてラテンアメリカや日本など、世界各地に点在しています。

構造：伝統と機能美

闘牛場の基本的な構造は、中央の開放的な空間「ルエード」（砂場）を、円形または楕円形の観客席が囲む形です。ルエードには砕石が敷き詰められ、闘牛士が準備や緊急時の避難に使う「カジェホン」と呼ばれる空間が周囲に設けられています。カジェホンと観客席の間には、高さ約140cmの分離壁があり、闘牛の侵入を防ぎつつ、緊急時には闘牛士の避難場所となります。

観客席は、太陽光の当たり具合によって価格が異なり、日当たりの良い「ソル」席は比較的安価です。

起源：古代ローマから現代へ

闘牛場の起源は、古代ローマの円形競技場に深く根ざしています。当初、闘牛は町の広場などで行われる公開イベントでしたが、専門的な競技場として発展するにつれて、円形闘技場の要素が取り入れられました。

1730年には、セビリアのマエストランサ闘牛場が建設認可を受け、当初の長方形から円形へと変更されました。これは、闘牛士が追い詰められるのを防ぎ、観客が均等な視点から観戦できるようにするためでした。19世紀から20世紀にかけては、ネオ・ムデハル様式の装飾が施されるようになり、近年では屋根付きの闘牛場も登場しています。

多様な用途：文化とスポーツの交差点

闘牛場の主な用途は闘牛ですが、実際には年間数週間しか使用されないことが多いため、コンサートやスポーツイベントなど、多目的な施設として活用されています。特にラテンアメリカでは、バスケットボールやボクシング、ルチャ・リブレなどの屋内スポーツにも利用されています。

また、かつてはバスク地方で伝統的なスポーツの競技場として使用されたり、スペイン内戦時には強制収容所として使用されたりするなど、歴史的な背景も持ち合わせています。

世界の主要な闘牛場

ラス・ベンタス闘牛場（スペイン・マドリード）: 世界で最も有名な闘牛場
マエストランサ闘牛場（スペイン・セビリア）: 権威ある闘牛場のひとつ
メヒコ闘牛場（メキシコシティ）: 世界最大の闘牛場
ベハル闘牛場（スペイン・サラマンカ）: 世界最古の闘牛場

日本の闘牛

スペインの闘牛とは異なり、日本では牛同士を戦わせる闘牛が、岩手県、新潟県、島根県、愛媛県、鹿児島県、沖縄県などで行われています。特に沖縄県では闘牛が盛んで、多くの闘牛場が存在します。

参考資料

* 石川菜央「徳之島における闘牛の存続と意義」『地理学評論』第81巻第8号、2008年

闘牛場は、単なる競技施設にとどまらず、地域の文化、歴史、そして人々の情熱が交差する場所なのです。

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