阪急マルーン

阪急マルーンの魅力

阪急マルーン（はんきゅうマルーン）は、阪急電鉄系列の鉄道車両に使われている特徴的な色合いであり、この色の副称は「小豆色」として広く知られています。この色は栗を意味する「マロン」に由来し、しばしば「チョコレート色」や「コーヒー色」とも表現されています。また、この色のマンセル値は5R 1.5/4.7であり、比較的近い色味として日本国有[[鉄道]]（国鉄）制定色の赤7号があります。

車両デザインに込められた意図

阪急マルーンは、開業以来の伝統的な色として知られており、車内の木目調の化粧板や、ゴールデンオリーブ色の座席との組み合わせによって、阪急電鉄の上品なイメージを象徴しています。すべての車両において塗装が統一されているのは、特急や急行、普通列車といった列車種別による差別化を避けるためです。

また、塗装工程には細心の注意が払われており、専用の塗料を使用したり、パテで車体表面の凹凸を処理したりすることで平滑な仕上がりが得られています。さらに、塗装自体も4層にわたり施され、独特の光沢感を生み出しています。

ブランドカラーとしての位置付け

阪急マルーンは、この鉄道会社のアイデンティティとしてしっかりと根付いており、毎年発行される阪急電鉄のカレンダーには「マルーンの疾風」という魅力的なサブタイトルがついているほどです。この色は鉄道車両に留まらず、阪急関連の商品やイベントなどにも幅広く採用されています。特に、2017年にはフォルクスワーゲン・ザ・ビートルの特別仕様車にこの色が採用され、2019年からは阪急百貨店がマルーンのランドセルを発売するなど、多岐にわたる展開がみられます。

車両塗装の歴史

阪急の車両塗装は歴史的に多様な変遷をたどってきました。1950年には、西宮球場で開催されたアメリカ博覧会の際に、800系が黄色と水色、500形が黄色とマルーンで塗装され、特急電車の復活時には100系がマルーンとオレンジのツートンカラーで登場しましたが、その後すぐにマルーンに銀色の帯を加える仕様に変更されています。

1975年に導入された6300系では、屋根肩部が阪急アイボリーで塗装されることとなり、その後1988年に導入された8000系以降はこのスタイルが引き継がれました。1999年には、6000系、7000系、7300系、5000系のリニューアル車両でも同様の塗装が導入されました。

一方、初代1000形での窓周りの白色塗装案や、新型車両でのメタリックオレンジを採用する提案は利用者や社内からの反対により実現しなかったこともあり、特に阪急マルーンはその由緒ある色彩として大事にされています。

他社の状況と影響

阪急電鉄の子会社である能勢電鉄でも、阪急マルーンが一時期を除いて用いられており、こちらは「能勢電マルーン」と呼ばれています。また、北大阪急行電鉄においても、この色の帯が装飾として取り入れられています。

阪急マルーンの魅力はその色合いだけでなく、伝統やブランドの象徴としての位置づけにも深く関係しており、今後も鉄道ファンや利用者に愛され続けることでしょう。

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