阪急700系電車

阪急700系電車の概要

阪急700系電車は、昭和23年、1948年に京阪神急行電鉄（後の阪急電鉄）によって新京阪線用の通勤型電車として製造されました。この系統の電車は、戦後初の新造車であり、ナニワ工機で10両が製造されました。具体的には、電動車700形701〜705と制御車750形751〜755の組み合わせから成っていました。

車体のデザインと構造

700系の車体は半鋼製で、運輸省が制定した規格型電車設計案に基づいています。特に、2段上昇窓のデザインが特徴的であり、これは同時期に製造された宝塚線用550形と類似します。車体のサイズは最大長が17,608mm、最大幅が2,892mmです。既存の100形電車と比較すると、やや短いものの、幅は広めに設計されています。このデザインは、当時の利用者の快適性を考慮したものでした。

主要機器と性能

700系は、電装品に東洋電機製造の製品を採用し、台車は扶桑金属工業が製造したKS-33Lを装備しています。主電動機はTDK-553-Aという吊り掛け式が各台車に2基ずつ、計4基搭載されています。ブレーキは自動空気ブレーキが採用されており、運転の安全性も確保されています。しかし、700系は自重が38t〜41tと比較的重く、即座に高速運転するには難しさがあり、主に千里山線（現在の千里線）での運用に特化していました。

技術革新と運用

700系の中でも751は、特に1952年にカルダン駆動装置の試験車としての役割を担いました。この試験により、カルダン駆動の性能評価が行われ、その後の高性能車両の開発に貴重なデータを提供しました。さらに、1956年から1957年にかけて、750形の電装化が進められ、先に電装された751とともに、706〜710という新たな編成が形成されました。この結果、京阪1200型に似たスタイルの制御車が中間に追加され、3両編成が可能となりました。

末期の運用と廃車

1970年には、700系は最大6両編成での運用が行われ、大阪万国博覧会の際には準急列車としても利用されました。しかし、時と共に運用形態も変化し、老朽化が進んだことから、1975年に廃車が開始されました。最終的には1976年に全廃され、701号車の一部が現在も保存されています。これにより、700系が持っていた歴史と技術が受け継がれることとなりました。

保存と展望

700系電車に関する資料や車両の一部は、電車館や阪急ミュージアムで展示されています。これにより、過去の技術や運用の貴重な記録が後世に伝えられていくことでしょう。このような歴史的な車両は、鉄道ファンだけでなく、多くの人々に愛され続けています。

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