阪神南県民センター

阪神南県民センターは、日本の都道府県の一つである兵庫県が、その南東部、特に阪神間地域の中でも南側のエリアを管轄するために設置している出先機関です。この地域には、尼崎市、西宮市、そして芦屋市が含まれています。業務の中心となる施設は、尼崎市にある兵庫県尼崎総合庁舎に置かれており、西宮市には西宮庁舎も設けられています。

沿革

阪神南県民センターの歴史は、1942年（昭和17年）に設置された武川（ぶせん）地方事務所に遡ることができます。この事務所は、当時の武庫郡と川辺郡を管轄範囲とし、設立当初は旧川辺郡役所があった伊丹市に位置していましたが、1945年（昭和20年）4月1日には、旧武庫郡役所の所在地であった西宮市へと移転しました。ただし、現在の西宮市北部（かつての山口村・塩瀬村）は、1951年（昭和26年）まで有馬郡に属しており、三田町にあった有馬地方事務所の管轄下でした。

戦後、地方行政体制が見直される中で、1975年（昭和50年）4月には、地方自治法上の「支庁」として、尼崎市に阪神県民局（初代）が設置されます。その後、阪神間地域の著しい人口増加といった社会情勢の変化に対応するため、2001年には阪神県民局が南北に分割され、現在の阪神南県民局が誕生しました。この分割後も、北部の阪神北県民局（宝塚市に所在）とは密接な連携を保ち、分割前に策定された地域に関する共通のビジョンを共有していました。

県民センターへの改組

2013年（平成25年）、兵庫県は県民局体制の見直しに着手しました。その中で、阪神南県民局と中播磨県民局（姫路市）については、管轄する中核市（尼崎市、西宮市、姫路市）へ多くの権限が既に移譲されている点を理由に挙げ、これらを廃止し、近隣の県民局へ統合することで、県全体の県民局数を8局体制とする再編案を発表しました。この当初案では、阪神南県民局は再び阪神北県民局と統合される予定でした。

しかし、この廃止・統合案に対しては、県議会のみならず、関係する市や町の議会から強い反発が相次ぎました。さらに、「尼崎市や西宮市、姫路市といった中核市以上に多くの県からの権限移譲を受けている神戸市を管轄する神戸県民局が廃止対象にならないのは不公平ではないか」という批判も上がりました。これらの意見を受け、県は方針を修正し、神戸を含む3つの県民局について、完全に廃止するのではなく、規模を縮小して「県民センター」へと改組することとしました。こうした経緯を経て、2014年（平成26年）4月1日、阪神南県民センターが新たな組織として発足したのです。

阪神北県民局との再統合に向けた動きとその凍結

県民センターへの改組後も、組織体制に関する議論は続きました。2018年（平成30年）、兵庫県は再び、阪神南県民センターを阪神北県民局と統合し、阪神間全域を管轄する新たな阪神県民局（第2代）を設置する方針を打ち出しました。この計画では、再統合後の県民局の本局を、阪神北県民局の管轄区域内にある伊丹市に置くことが想定されており、2022年度の発足を目指していました。

しかし、この再統合計画についても、関係各方面から異論が相次ぎました。特に、本局の移転先や組織体制に関する調整が難航したこともあり、結局、2022年になってこの統合計画は凍結されることとなりました。当初の計画には、新しい県民局の統合に伴い、管轄区域が離れて「飛地」状態となる芦屋健康福祉事務所（保健所に相当する機関）を、宝塚健康福祉事務所の分室とする案なども含まれていました。

管轄区域

阪神南県民センターが管轄する区域は以下の市です。

尼崎市
西宮市
芦屋市

組織

阪神南県民センターの組織は、主に尼崎総合庁舎と西宮庁舎に分かれています。

尼崎総合庁舎
総務企画室
県民協働室（県民局時代に環境関連業務の一部が阪神北県民局へ移管されています）
阪神活性化参事
西宮庁舎
西宮県税事務所（県民局の発足当初は尼崎総合庁舎でも扱っていた県税に関する業務が、後に西宮庁舎に一元化されました）

また、これらの主要な庁舎以外にも、管轄区域内にはいくつかの施設があります。

芦屋健康福祉事務所（他の都道府県における保健所に相当します）
尼崎港管理事務所

かつて県民局時代に西宮市に置かれていた西宮土木事務所は、県民センターへの改組に伴い、阪神北県民局管内の宝塚土木事務所と統合されています。

所在地・交通アクセス

尼崎総合庁舎
所在地: 兵庫県尼崎市東難波町5-21-8（郵便番号 660-8588）
交通: 阪神本線尼崎駅より北西へ徒歩約8分
西宮庁舎
所在地: 兵庫県西宮市櫨塚町2-28（郵便番号 662-0854）

阪神南県民センターは、地域のニーズに応じた行政サービスを提供し、阪神南地域の活性化に向けた取り組みを進めています。

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