阪神151形電車

阪神151形電車

阪神151形電車は、かつて阪神電気鉄道が保有していた事業用車両です。ジェットカーと呼ばれる高性能車両の導入によって余剰となった、旧性能の小型車を改造して生まれました。用途に応じて、151形、152形、153形、154形に分類されます。

概要

151形各形式は、1121形、1141形を種車として改造されました。1962年に最初の改造車が登場し、その後1965年にも改造が行われています。塗色は、旧型車の標準色であった茶色を明るくした赤茶色でした。

各形式の主な特徴は以下の通りです。

151形
1121形1140を種車に、1965年に無蓋電動貨車として改造されました。車体の一部を撤去して荷台とし、ホイストなどを搭載していました。作業用の投光機も備えられていました。

152形
1121形1138を種車に、1965年に架線作業用の無蓋電動貨車として改造されました。蓄電池を搭載し、停電時でも自走可能でした。架線工事用の作業台も設置されていました。

153形
1141形1145を種車に、1965年12月に救援車として改造されました。機材搬入口を設け、車内にはホイストや復旧資材が積み込まれていました。

154形
1962年に救援車として改造された110号を、1966年に無蓋電動貨車として再改造したものです。151形とほぼ同じ構造ですが、ホイストがない分、積載重量が大きくなっていました。

詳細

151形は、1121形1140を種車としています。神戸側の客用扉から大阪側の乗務員扉の直後まで構体を撤去し、7tの積載が可能な荷台としました。大阪側の運転台の屋根は低屋根化され、クモハ14形などの低屋根改造車と似た外観になりました。荷台にはホイストと空気溜が設置されています。台車は種車のボールドウィン75-25Aを流用し、モーターはGE-203P（37.3kW）を4基搭載していました。

152形は、1121形1138を種車としています。架線作業用に使用するため、停電時の無電区間でも作業できるよう、荷台に駆動用の蓄電池を搭載しています。積載荷重は2tと少なめです。151形と同様にボールドウィン75-25Aの台車を履いていますが、モーターは蓄電池駆動の関係でGE-203Pを端子電圧300V時1時間定格出力18kWとして4基搭載しています。

153形は、1141形1145を種車としています。神戸側の客用扉と側窓の一部を撤去し、機材搬入口を設けました。車内は荷物室とし、ホイストを取り付けています。台車はボールドウィン75-25A、モーターはGE-203Pを4個搭載しています。

154形は、1121形1136を種車としています。151形とほぼ同じ構造ですが、ホイストがないため、積載重量は8tと大きくなっています。台車はボールドウィン75-25A、モーターはGE-203Pを4個搭載しています。

変遷

これらの車両は、前面に「工事」「救援」と書かれた運行標識板を取り付けて運用されました。昼間は車庫や駅構内に留置され、夜間に保線工事に出動していました。1966年には、151形の制御器が153形、154形と同様のものに換装され、1967年の昇圧に対応しました。1971年には、151形、152形、154形のパンタグラフが換装されています。

152形は、架線作業用自動車への代替により1977年に廃車されました。残った151形、153形、154形は、阪神電鉄における最後の吊り掛け駆動車として活躍しましたが、老朽化のため、1986年、1987年にかけて廃車されました。これにより、阪神電鉄の線路上から吊り掛け駆動車が姿を消しました。

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