防衛食容器

防衛食容器

防衛食容器（ぼうえいしょくようき）は、第二次世界大戦中に貯蔵食糧用として開発された陶磁器製の容器です。この容器は特許真空容器として知られ、食料を長期保存するために設計されました。

製作背景

戦時中、人々は食料を確保することが重大な課題となる中、食糧を貯蔵するための防衛食という概念が生まれました。防衛食は、炊事を避けながら食生活を維持するために、長期間保存可能な食材を求めるものです。缶詰や瓶詰めの食品も防衛食に含まれ、敵の攻撃から身を守るための重要な手段とされました。

金属供出の影響

1941年に、金属類回収令が公布され、金属資源が不足しました。これに伴い、家庭用の金属製品が制限される中、陶磁器による代用製品が求められました。これらの陶磁器は、戦争の影響で食材の流通が厳しくなっていたため、残念ながら多くが空のままで製造された事例が多く見受けられました。

つぼ詰の実験

1941年前後に、陶器で作られた「つぼ詰」という製品も試作されました。これは金属製缶詰の代替品を作る試みでした。実際、岐阜県の工場で生産が行われ、豊富な食材が詰め込まれることが期待されましたが、食材の調達は困難であり、多くは未使用のまま市場に出回りました。

防衛食容器の開発

名古屋の瀬栄合資会社は、長期保存が可能な陶器製の防衛食容器の開発を進めました。試行錯誤の末、1943年には密閉された状態で食材を保存できる容器が完成しました。この容器は、無煙や無火を維持しつつ、真空状態を保つことができるように設計されました。

流通と残存状況

防衛食容器は全国に広がり、各地の食糧営団に配布されました。その数は約12万5千ケースに及ぶとも言われています。戦後、食財とともに空の容器が市場に出回り、使い道を失った多くの容器は未開封で残り、博物館やオークションに出品されることもありました。

現在の状況

現在、防衛食容器は博物館に収蔵されることが多く、一部は公共施設で展示されています。たとえば、佐賀県の塩田町歴史民俗資料館には数万個の容器が保存されているという話もあります。これらの容器は、戦争の歴史を感じさせる貴重な資料として、軍関連の流通が行われていた当時を物語っています。

まとめ

防衛食容器は、戦争の影響により人々が食料の安全を確保するために生まれたものです。この容器は、戦後も多くの未使用品が残っており、歴史的な価値を持つ宝物として保存されています。防衛食容器の存在は、戦時中の厳しい生活の中で生まれた人々の知恵の象徴とも言えるでしょう。

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