阿修羅ガール

阿修羅ガール（あしゅらガール）

舞城王太郎による長編小説『阿修羅ガール』は、2003年に新潮社から出版され、瞬く間に話題を呼びました。物語は東京都調布市を舞台に、女子高生アイコの視点から語られ、彼女の饒舌なガールズトークが印象的な作品です。この作品は、第16回三島由紀夫賞に輝いたことでも知られていますが、その受賞に関して賛否が分かれました。

受賞と評価

三島由紀夫賞に対する評価は賛否が激しく、作家の宮本輝は「下品で不潔な文章」と厳しい批判を発し、受賞に猛反対しました。また、「支離滅裂な大きなエネルギーを持て余している」との意見もあり、その一方で福田和也は「三島由紀夫の名を冠するこの賞から舞城を送り出せてよかった」と絶賛し、筒井康隆も「現代の女子高生の言葉遣いを効果的に使っている」と高く評価しました。島田雅彦は「ブーイングを浴びることで輝く狡猾な作品」と評価し、作品が注目される要因の一つとなりました。

覆面作家として知られる舞城王太郎は、この受賞によって初めて公の場に姿を見せるかもしれないとの期待が寄せられましたが、授賞式には出席せずにコメントのみを残しました。

あらすじ

第一部「アルマゲドン」

物語はアイコの視点で進行し、彼女の濃厚な内面や感情が描かれます。アイコは同級生の佐野と性行為を行うも、その体験は期待外れに終わり、さらに彼とのトラブルによって侮辱を受けることになります。次第に、彼女は自尊心を取り戻すために、幼なじみである陽治と共に佐野の行方を探すことを決意します。

その過程で、調布市では連続幼児殺人犯『グルグル魔人』が現れ、市内は混乱に包まれます。匿名掲示板では中学生狩りが行われ、アイコが住む場所はまさに危機的状況にあります。

第二部「三門」

物語はさらに深まり、アイコは仲間たちと共に恐怖の中で成長していきます。彼女は第二の人格を持つ「シャスティン」と共に魔物が潜む森へ向かい、過酷な冒険を経験します。ここでの試練は、アイコの内面的な葛藤だけでなく、成長をも促す重要な要素となります。

第三部「JUMPSTART MY HEART」

物語のクライマックスでは、アイコが三途の川から戻り、彼女がこれまでの経験を振り返るシーンが描かれます。愛の大切さや、友情の重みに触れることで、彼女は成長を遂げ、読者に感動を呼び起こすことでしょう。

登場人物

• - アイコ: 物語の主人公で女子高生。
• - 陽治: アイコの幼なじみで、彼女が思いを寄せる相手。
• - 佐野: アイスの同級生で、アイコとのトラブルの元となる人物。

まとまり

『阿修羅ガール』は、ただの青春小説ではなく、成長や痛み、友情、愛の本質を問い直す物語です。舞城王太郎の独特な文体と、鮮烈なキャラクターたちの織りなす世界は、一度読んだら忘れがたい印象を与えることでしょう。

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