三島由紀夫賞

三島由紀夫賞について

三島由紀夫賞（みしまゆきおしょう）は、作家三島由紀夫の業績を偲ぶため、新潮社の新潮文芸振興会によって設立された文学賞です。略称として「三島賞」が使われます。この賞は三島が亡くなってから17年後の1987年9月1日に創設され、1988年から受賞作品の選考と授与が始まりました。

三島由紀夫は新潮社との関係が非常に深く、数多くの著作を発表しました。代表作には『愛の渇き』や『潮騒』があり、彼の晩年には『豊饒の海』という四部作を雑誌「新潮」で連載しました。彼の死後、新潮社からは全集が刊行され、多くの作品が新潮文庫に収められています。このような背景を持つ三島由紀夫の名を冠した賞が創設されたのは、当然の成り行きとも言えます。

新潮社は過去に新潮社文学賞（1954-1967年）、日本文学大賞（1969-1987年）を主催してきましたが、それに代わる新たな文学賞として三島由紀夫賞を立ち上げました。この賞は、芥川賞や直木賞と同様のカテゴリーでありながら、新しい才能を見いだすことを目的としています。また、三島由紀夫賞は山本周五郎賞と並ぶ形で、新しい作家の登場を期待する賞となっています。

選考について

三島由紀夫賞の選考対象となるのは、小説、評論、詩歌、戯曲など、多岐にわたります。具体的には「文学の前途を拓く新鋭の作品一篇に授与する」という理念のもと、毎年選考が行われます。特に小説に焦点が当たっていますが、評論など他のジャンルからも受賞者が出ることがある点がこの賞の特徴です。1993年には評論家の福田和也が受賞するなど、幅広い作品が評価されています。

選考は毎年5月中旬に行われ、対象作品としては前年の4月1日から選考年の3月31日までに発表された作品が含まれます。受賞した作家には記念品とともに100万円の副賞が授与されます。選考委員は4年ごとの任期制ですが、再任が可能なために、宮本輝など長期間にわたって選考に携わった委員もいます。

また、受賞者は純文学以外のジャンルからも選ばれることがあり、著名な作家だけでなく新しい才能が評価される機会が多くあります。過去には舞城王太郎や古川日出男、岡田利規といった作家も受賞しています。中堅やベテランの作家も受賞することがあり、矢作俊彦や蓮實重彦などの名前が挙げられます。

受賞作の一覧

受賞作は回数ごとにまとめられており、第1回から始まり、第10回まで続いています。続いて第11回から第20回、第21回から第30回、第31回から第40回まで、各回ごとの受賞作が選考されています。このように受賞作品は年々発表されており、一貫して文学の発展に寄与しています。

選考委員

選考委員には、日本を代表する作家たちが名を連ねています。初期の選考委員には江藤淳、大江健三郎、筒井康隆、中上健次、宮本輝などがいます。第2期以降も多くの著名な作家が委員として関わり、新たな才能の発掘に取り組んでいます。

このように三島由紀夫賞は、日本の文学界において重要な位置を占める賞となっており、今後も新しい作家の登場を促進し続けることでしょう。

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