阿古真理

阿古真理（あこ まり）は、1968年生まれの日本の生活史・食文化研究家、ノンフィクション作家です。現在は、くらし文化研究所を主宰し、研究活動や執筆活動を行っています。

兵庫県西宮市で生まれた阿古真理は、神戸女学院中学部、高等学部を経て、神戸女学院大学文学部総合文化学科を卒業しました。大学卒業後は広告制作会社でコピーライターとして勤務しましたが、1996年にフリーライターに転身し、情報誌や広告分野で活動しました。1999年には活動拠点を東京に移し、2001年から『AERA』（朝日新聞社）で執筆活動を開始、以後ノンフィクション分野を活動の中心としています。

2004年には初の単著となる『ルポ「まる子世代」』を出版しました。2018年には料理家の有賀薫らと新しいカテイカ研究会を創設し、食と暮らしに関する新たな視点を提供しています。2023年には、その卓越した調査分析力と食をめぐる現代社会の課題を掘り起こす視点が評価され、食生活ジャーナリスト大賞（ジャーナリズム部門）を受賞しました。

阿古真理の研究分野は食文化を中心に、暮らしの来歴や生活誌に及びます。さらに、ジェンダー、女性の生き方、家族、写真といったテーマにも関心を寄せ、執筆や講演活動を通じて、多角的な視点から社会現象を捉えています。

著書『日本外食全史』は、300冊にも及ぶ文献を基に、外食の歴史を詳細に描き出した作品として、木村衣有子氏から高く評価されています。また、『料理は女の義務ですか』は、夫婦間の家事負担という普遍的な問題に焦点を当て、多くの読者の共感を呼びました。『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。』では、自身のうつ病の経験と料理への向き合い方を綴り、精神科医の香山リカ氏から、多くの人に読んでほしい一冊として紹介されました。2022年に出版された『家事は大変ってきづきましたか？』は、作家の島本理生氏によって、「家事を通じて全ての人に、ケアや生活とはなにかを問い直す一冊」と評されました。

阿古真理の著書は多岐にわたり、以下のものがあります。

『ルポ「まる子世代」』集英社新書、2004年。
『うちのご飯の60年 祖母・母・娘の食卓』筑摩書房、2009年。
『自由が丘スイーツ物語―ケーキで人を幸せにする街』NTT出版、2011年。
『昭和の洋食 平成のカフェ飯 家庭料理の80年』筑摩書房、2013年。
『昭和育ちのおいしい記憶』筑摩書房、2014年。
『「和食」って何？』筑摩書房、2015年。
『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』新潮社、2015年。
『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか パンと日本人の150年』NHK出版、2016年。
『料理は女の義務ですか』新潮社、2017年。
『パクチーとアジア飯』中央公論新社、2018年。
『母と娘はなぜ対立するのか 女性をとりまく家族と社会』筑摩書房、2019年。
『何が食べたいの、日本人？ 平成・令和食ブーム総ざらい』集英社、2020年。
『日本外食全史』亜紀書房、2021年。
『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。』幻冬舎、2021年。
『家事は大変って気づきましたか？』亜紀書房、2022年。
『大胆推理！ケンミン食のなぜ』亜紀書房、2023年。
『おいしい食の流行史』青幻舎、2023年。
『お金・衣食住・防犯が全てわかる　ひとり暮らしの超基本』朝日新聞出版、2024年。
* 『日本の台所とキッチン一〇〇年物語 』平凡社、2024年。

阿古真理は、食と暮らしに関する深い洞察と、社会に対する鋭い視点を持つ研究者・作家として、今後もその活動が注目されます。

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