阿史那元慶

阿史那元慶（あしな げんけい）は、7世紀に活躍した西突厥（にしとっけつ）の可汗（かがん：遊牧国家の君主号）であり、唐（とう）に仕えた武将です。阿史那弥射（あしな みしゃ）の子として生まれました。

生涯

685年から688年の垂拱（すいきょう）年間初め、唐朝は阿史那弥射の子で左豹韜衛翊府中郎将（さひょうとうえいよくふちゅうろうしょう）であった元慶を、左玉鈐衛将軍（さぎょくれんえいしょうぐん）兼崑陵都護（こんりょうとご）に抜擢しました。そして、興昔亡可汗（こうせきぼうかがん）の称号を継がせ、五咄六部落（ごとつろくぶ）を統括させました。また、歩真（ほしん）の子である斛瑟羅（こくしつら）を右玉鈐衛将軍（うぎょくれんえいしょうぐん）兼濛池都護（もうちとご）とし、五弩失畢部落（ごどしつひつぶ）を統括させました。唐朝は元慶を左衛大将軍（さえいたいしょうぐん）に昇進させ、その勢力を拡大させました。

692年、元慶は来俊臣（らいしゅんしん）という人物の讒言（ざんげん：告げ口）により、謀反を企てているとして告発され、殺害されました。元慶の子である阿史那献（あしな けん）は、崖州（がいしゅう）へ流刑に処されました。

阿史那元慶は、唐朝と西突厥の関係において重要な役割を果たした人物でしたが、政治的な陰謀によってその生涯を閉じることとなりました。

阿史那元慶に関連する人物

阿史那弥射：阿史那元慶の父。西突厥の可汗。
斛瑟羅：歩真の子。阿史那元慶と共に唐朝から要職に任じられた。
来俊臣：阿史那元慶を讒言した人物。
阿史那献：阿史那元慶の子。

参考文献

『旧唐書』（列伝第一百四十四下 突厥下）
『新唐書』（列伝一百四十下 西突厥）
佐口・山田・護訳注『騎馬民族誌２正史北狄伝』（1972年、平凡社）
内藤みどり『西突厥史の研究』（1988年、早稲田大学出版部、ISBN 4657882155)

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