西突厥

西突厥可汗国について

西突厥可汗国（On-oq）は、582年に突厥が東西に分裂した際に成立した、西側の勢力を指します。それに対して、東側の勢力は東突厥と呼ばれます。西突厥は、中央アジアの広範な地域を支配しており、具体的にはアルタイ山脈を東境とし、南はタリム盆地、そして西はカスピ海にまで影響を及ぼしました。657年、西可汗の阿史那賀魯が唐に捕らえられた後、西突厥は唐の統治政策のもとに置かれることとなります。719年ごろには、阿史那氏が滅び、以後は突騎施や葛邏禄が実権を握ることが多くなりました。

歴史の流れ

西突厥の歴史を詳述するためには、まずその成立時期の背景を理解する必要があります。552年、突厥の伊利可汗が柔然から独立し、西方のシル川地域を制圧する際、彼の弟である室點蜜がその支援に当たりました。この動きがきっかけとなり、577年にはエフタルを滅ぼし、カザフスタンにおける支配を強化していきました。

内戦の勃発が西突厥の分裂を招き、581年には、他鉢可汗の死後、可汗の後継者争いが始まります。大邏便が権力を得られなかったため、彼は拒絶され、最終的には新たに菴羅が可汗に即位しました。しかし、彼もまた不安定な状況にあったため、大陸を超えた唐からの侵攻にさらされることとなります。

582年、隋の文帝が西突厥に侵攻し、沙鉢略可汗はこれに抵抗しますが、敗北を喫します。この戦いを経て、阿波可汗の取り巻きの多くも反乱を起こし、西突厥は第二の可汗国家としての基盤を築きました。しかし、内乱が続き、587年頃には内が乱れ、937年までその政治的な力を失うことになります。

突騎施と葛邏禄の台頭

741年に阿史那氏が滅ぼされた後、西突厥の権力構造は急速に変化します。突騎施部が勢力を増しはじめ、西突厥からの独立を図り、さらに葛邏禄（カルルク）族も台頭していきました。この時期、突騎施は黄姓と黒姓に分かれ、互いに争いを続けました。これがやがて、727年から742年にかけての動乱を引き起こす要因となりました。

習俗と文化

西突厥の習俗は、基本的に突厥や東突厥と共通点が多いですが、言語において若干の違いが見受けられます。また、彼らは毎年5月8日に祭神を行うといった独特の文化も持っていました。

政治体制

西突厥の政治体制は、中央から地方に至るまで複雑で、多くの部族が共存する形をとっていました。大可汗が戦国を統治し、その下で二人の小可汗が東西を分かれ支配します。君主制においては可汗の下、葉護や特勤、俟発などの官職が設けられ、国事を議論することが行われていました。特に、可汗庭（首都）は複数の地域に分かれ、北庭と南庭があり、それぞれが機能していました。

限界と滅亡

最後には、西突厥は外的圧力や内的な対立によって再び崩壊してしまいます。特に、751年頃には唐の移住政策が加速し、突騎施部が主導的な役割を果たすことになります。その後、逐次として他の部族に分裂し、結局は完璧に滅ぼされることとなりました。西突厥における歴史は、ただ一つの政権が興亡を繰り返したものではなく、文化的にも影響を残したものです。

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