阿多田島

阿多田島について

阿多田島（あたたじま）は、瀬戸内海に広がる魅力的な有人島です。広島県大竹市から南東約8.5kmの位置にあり、安芸の宮島の南5kmに相当します。島は、お隣の猪子島と防波堤で繋がっており、全域が大竹市阿多田に属します。面積は2.41平方キロメートル、周囲は11kmで、主に山が広がっており、最高峰は204mの高山です。島の環境は、瀬戸内海式気候であり、温暖な気候が特徴です。

地理と産業

島の主要産業は水産業で、特にイワシの網漁や養殖業が盛んです。県内でも豊富な漁獲量を誇り、近年はハマチの養殖が特に注目されています。島内の人々は、すべてが漁業に従事しており、産業が水産業中心に組織されています。また、農耕も行われていますが、主には家庭用に限られています。

人口は276人と少なく、高齢化が進んでいますが、古くから続く漁業の活気が地区を支えています。住居は一つの集落に集中しており、近年では過疎化の傾向も見られますが、漁業の活発さのおかげで深刻な後継者不足には至っていないのが救いです。上水道は本州からの海底送水管を使って供給され、下水道も整備されています。インターネット環境も整っており、現在では情報化が進んでいます。

歴史

阿多田島は、弥生時代の外深浦遺跡など、歴史的な遺物を持つ土地でもあります。この地へは戦国時代に山本小十郎頼晴が移住し、彼の自刃の地には「ソウゲ殿の碑」が立てられました。江戸時代にはイワシ漁が発展し、現在でもその名残が残ります。悪鼠撲滅のための神社も建立されたほどです。近年では、昭和53年に当時の皇太子夫妻がハマチ養殖場を訪れ、記念碑も設置されました。

観光と文化

阿多田島では、自然と水産業を活かした観光が展開されています。特に、スナメリ（デゴンドウ）を目撃できる海上の景観と、歴史的な文化財は観光客に人気があります。また、長浦海浜は貴重な自然海岸として保護されています。島内にはいくつかの文化財も存在し、観音堂や阿多田島灯台資料館、歴史ある寺院が点在しています。

祭りも大切な文化として続いており、毎年10月13日には豊漁を願う阿多田例大祭が行われます。島民の手による祭りは、古来の伝統を今に伝える重要なイベントです。

交通の便

阿多田島へのアクセスは、定期船が小方港と阿多田間を1日5往復しています。所要時間は約35分で、手軽に訪れることができます。島内には食事ができる店はありませんが、自然の美しさと歴史が織りなす独自の魅力があり、多くの訪問者を惹きつけています。

このように阿多田島は、豊かな自然と歴史を背景に、漁業を基盤とする独特の文化が息づく魅力的な島です。

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