イワシ

イワシの概要

イワシとは、狭義には魚類ニシン目ニシン亜目に属する小型の魚たちを指しますが、漁獲される種類は多様です。特に日本では、マイワシ（Sardinops melanostictus）、ウルメイワシ（Etrumeus teres）、カタクチイワシ（Engraulis japonica）の三種が「イワシ」として一般的に認識されています。また、これらの魚は世界的にも類似種を含む広い意味でのイワシとして扱われています。この魚は、日本の古い女房言葉で「むらさき」とも称され、広く食用や飼料、肥料として利用されています。

分類

日本国内においてイワシはニシン亜目に属し、以下のように分類されます。

• - ニシン科 Clupeidae (マイワシ属、ウルメイワシ属)
• - カタクチイワシ科 Engraulidae (カタクチイワシ属)

世界中にはマイワシ属やカタクチイワシ属など、数多くの近縁種が存在し、商品として流通する際には「マイワシ」「ウルメイワシ」「カタクチイワシ」といった名前で知られています。

特徴

イワシは海水に生息する回遊魚で、体長は大体10cmから30cm程度です。これらの魚はプランクトンを主食としており、群れを成して移動します。体の形は細長く、背側は青く、腹側は白い色をしています。そのため、一般的に「青魚」として知られることが多いです。特に、イワシは鱗が剥がれやすく、保存が難しいため、鮮度が命の魚とも言われています。

名称の由来

イワシの名前は、陸に揚げるとすぐに弱って腐りやすいため「よわし」という言葉が変化したものだといわれています。この「鰯」という漢字は日本で作られた国字で、中国語でも利用されています。

利用

食用

イワシは、ほぼ全ての海に接する地域で食材として利用されます。日本では刺身、寿司、焼き物、揚げ物、煮物など、さまざまな料理に使われます。また、稚魚や幼魚は干物や煮干しにされ、栄養豊富な食品として重宝されています。特に、梅雨の時期に栄養を蓄えたマイワシが食材として人気で、「入梅イワシ」と呼ばれています。イワシはDHAやEPA、不飽和脂肪酸を多く含んでおり、健康食品としても注目されている一方、プリン体も多く含むため、高尿酸血症の方は注意が必要です。

食用以外

食用以外の用途としては、魚油の採取や養殖魚のための飼料、肥料としての利用などがあります。昔は新鮮な魚を消費する技術が限られていたため、干し魚や魚油が主な用途であったとされています。近年でも、肥料用魚粉の材料や、魚粕の生産が行われています。

漁業について

イワシは資源量が安定しており、日本でも大衆魚として広く親しまれています。ただし、漁獲量は時期によって変動が大きく、特にマイワシは過去に減少傾向が見られました。漁獲高の変動は資源量や気候変動の影響とされ、乱獲や他の生物の捕食が主な要因ではないと考えられています。

文化

日本では「節分いわし」という風習があり、鬼を払うために焼いたイワシを食べる習慣があります。さらに、イワシにまつわることわざも多くあります。例えば「鰯の頭も信心から」は、些細なものでも信じることで価値が生まれることを示しています。

イワシは、食用としても文化的な意味合いでも重要な地位を占めています。

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