阿波和三盆糖

阿波和三盆糖とは

阿波和三盆糖（あわわさんぼんとう）は、徳島県で伝統的に生産されている和三盆の一種です。この砂糖は、その独自の風味と甘さから和菓子には欠かせない存在となっています。阿波国の名に由来し、主に阿讃山脈南側にて栽培されています。詳しく見ていきましょう。

生産地域と原材料

阿波和三盆糖は、徳島県の上板町および阿波市土成町で生産されています。この地で育てられるサトウキビは「甘蔗（かんしゃ）」と呼ばれ、特に竹糖という品種が栽培されています。この竹糖は、南西諸島で育つサトウキビに比べて背が低く、特徴的な甘みと風味を持っています。

歴史的背景

阿波和三盆糖の歴史は、18世紀後半にさかのぼります。当時、阿讃山脈南麓には水が乏しく、作物があまり育たない厳しい環境が広がっていました。そんな中、板野郡の山伏、玉泉は九州からの遍路から甘蔗の話を聞き、1776年に日向国延岡に赴きました。そこで玉泉は甘蔗の栽培方法や製糖法を探り、帰国後に独自に研究を重ねました。

1798年頃、彼はついに三盆糖の製造に成功し、この地域の農業に大きな変化をもたらしました。徳島藩の奨励によって甘蔗の栽培は急速に広がり、阿波和三盆糖は地域の重要な産業へと成長しました。天保から文久年間にかけて、約2,500ヘクタールの面積で甘蔗が栽培され、生産量は75,000トンにも達しました。

近代の展開

明治以降、外国産の砂糖との競争や日清戦争後の台湾産砂糖の流入により、阿波和三盆糖は衰退期を迎えました。しかし、讃岐が白下糖に特化して生存を図る一方、阿波では三盆糖が再び注目され、現在も製造が続けられています。特に、昭和50年からは上板町と土成町を中心に甘蔗の作付け面積が維持されており、製造技術は昔ながらの手作業によって支えられています。

現在、徳島県内には手作業によって製造を行っている岡田製糖所があり、ここで作られる阿波和三盆糖は、独自の風味と味わいを大切にしています。

まとめ

阿波和三盆糖は、歴史的背景や生産プロセスを経て現在に至るまで、徳島県の特産品として受け継がれてきた砂糖です。その製造過程には職人の技術と情熱が込められており、和菓子の世界では欠かせない存在になっています。これからも阿波和三盆糖は、地域の文化とともに生き続けていくことでしょう。

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