阿緱庁

阿緱庁について

阿緱庁（あこうちょう）は、日本統治時代の台湾に存在した地方行政区分の一つです。1901年（明治34年）に設置され、1920年（大正9年）の地方制度改革により廃止されるまで、台湾南部の行政を担いました。

歴史

設立と初期

1901年（明治34年）11月、台湾総督府は地方行政区分の再編を行い、それまでの三県四庁制を廃止し、二十庁制を導入しました。この時に、台南県の一部を分割して阿緱庁が設置されました。当初は「阿猴廳」と表記され、阿里港、内埔、萬丹、東港、潮州庄、枋藔の6つの支庁を管轄しました。これらの支庁は、それぞれの地域における行政の中心としての役割を担っていました。しかし、内埔と萬丹の支庁は後に廃止され、他の支庁に統合されることになります。

名称変更と行政区画の整理

1903年（明治36年）には、阿猴廳から「阿緱庁」へと名称が変更されました。同年4月には萬丹支庁が廃止され、行政区画の整理が進められました。1904年（明治37年）4月13日には、街庄の区画整理と区の設置が行われ、地域の実情に合わせた行政区画の見直しが実施されました。同月15日には、潮州庄支庁が潮州支庁に改称され、塩埔区が阿里港支庁に編入されるなど、管轄区域の変更が行われました。

支庁の再編

1905年（明治38年）3月31日には、内埔支庁が潮州支庁に編入され、庁直轄であった鳳山厝庄と溝仔墘庄も潮州支庁の管轄となりました。これにより、行政効率化が図られました。1909年（明治42年）10月には、蕃薯藔庁と恆春庁が阿緱庁に併合され、管轄区域が大幅に拡大しました。蕃薯藔庁は蕃薯藔、六亀里（新設）、甲仙埔（阿里関から改称）の各支庁となり、恆春庁は恆春、蚊蟀、枋山の各支庁となりました。

蚊蟀支庁の統合と廃止

1913年（大正2年）6月13日には、蚊蟀支庁が恆春支庁に編入され、行政の簡素化が進められました。この間、阿緱庁は台湾南部の広範囲な地域を管轄し、その行政を担っていました。

廃止と高雄州への統合

1920年（大正9年）10月、台湾の地方制度が大きく変更され、五州二庁制が施行されました。これにより、阿緱庁は台南庁南部および澎湖庁と合併し、新たに高雄州として再編されました。阿緱庁は、その歴史に幕を下ろすこととなりました。

行政

歴代庁長

阿緱庁の歴代庁長は以下の通りです。彼らは、阿緱庁の行政を円滑に進めるために尽力しました。

桑原外助：1901年 - 1902年
佐佐木基：1902年 - 1909年
佐藤謙太郎：1909年 - 1914年
立川連：1914年 - 1917年
齋藤愛二：1917年 - 1919年
高山仰：1919年 - 1920年

阿緱庁は、短い期間ではありましたが、台湾南部の発展に重要な役割を果たしました。その歴史は、台湾の地方行政制度の変遷を知る上で貴重な資料となっています。

もう一度検索