阿部和俊

阿部 和俊（あべ かずとし）

1949年に福岡県北九州市で生まれた阿部和俊氏は、日本を代表する人文地理学者であり、特に都市地理学の領域で顕著な業績を挙げてきました。名古屋大学の文学部史学科を1972年に卒業後、大学院文学研究科でさらに学びましたが、1976年まで大学院での研究を続けました。

その後、愛知教育大学に助手として採用され、1981年には助教授、1995年には教授へと昇進しました。アカデミックな活動の中で、1984年から1985年にかけてはフランスのパリ大学（パリ・ソルボンヌ）に留学し、そこで著名な地理学者ポール・クラヴァル氏の指導を受けました。これにより、国際的な視点を持つ研究者としての経験を深めることができました。

阿部氏は1990年に、「経済的中枢管理機能からみた日本の都市体系」という論文で文学博士の学位を取得し、彼の研究が日本の都市地理学の発展に寄与することとなりました。また、2010年度と2011年度には愛知教育大学附属高等学校の校長を務めるなど、教育活動にも力を入れてきました。最終的には2013年に定年を迎え、名誉教授の称号を得ました。

主な著書

阿部和俊氏の著作は、その都市地理学における深い知見と考察を反映しています。彼の主要な単著には次のようなものがあります。

• - 『日本の都市体系研究』（1991年）：この作品は日本都市学会賞を受賞し、国内外での評価が高いです。
• - 『先進国の都市体系研究』（1996年）：先進国における都市の特性を探求しています。
• - 『発展途上国の都市体系研究』（2001年）：発展途上国特有の問題を考察した重要な著作です。
• - 『20世紀の日本の都市地理学』（2003年）：20世紀における日本の都市地理学の進展を振り返っています。
• - 『近代日本の都市体系研究 : 経済的中枢管理機能の地域的展開』（2010年）：近代日本の都市化の背景を経済的視点から検討しています。

また、彼は編著としても多くの貢献があります。

• - 都市の景観地理シリーズ（古今書院）：このシリーズでは、日本国内外の都市景観を深く掘り下げ、都市の地理的特性を包括的に扱っています。シリーズの中には、『都市の景観地理 日本編 1』, 『都市の景観地理 日本編 2』, 『都市の景観地理 韓国編』, 『都市の景観地理 中国編』, 『都市の景観地理 大陸ヨーロッパ編』, 『都市の景観地理 イギリス・北アメリカ・オーストラリア編』等が含まれており、各国の都市風景に関する詳細な分析が展開されています。

これらの著作を通じて、阿部氏は地理学の分野での卓越した業績を築いていきました。特に日本の都市地理学界における彼の貢献は大きく、彼の研究は後続の研究者たちにとっても重要な参考資料となっています。

彼の研究成果は、都市の発展や地域の特性を理解する上で欠かせないものであり、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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