阿部正美

阿部正美（あべ まさみ）は、1932年11月23日に東京市麻布区（現在の東京都港区）で生まれ、日本の国文学者として著名な人物です。専修大学の名誉教授として、長年にわたり教鞭を執り、多くの研究者を育成しました。彼の研究は、特に松尾芭蕉に関するものが中心であり、芭蕉の伝記、俳諧、連句など、多岐にわたる分野で深い洞察を示しています。

阿部正美は、東京都立日比谷高等学校を卒業後、国文学の道に進みました。麻生磯次に師事し、その指導の下で研究を深めました。1961年には、彼の初期の代表作である『芭蕉伝記考説』が、文部大臣奨励賞を受賞し、その研究者としての才能を世に知らしめました。

1966年から国士舘短期大学で教鞭を執り始め、講師、助教授を経て、1980年には教授に就任しました。その後、1982年に専修大学文学部に教授として迎えられ、2003年に定年退任するまで、多くの学生を指導しました。退任後、専修大学の名誉教授の称号を授与され、現在に至ります。

阿部正美の研究活動は、著書や共編著の形で数多く発表されています。特に注目すべきは、芭蕉の伝記研究に関するものであり、『芭蕉伝記考説』を初めとする多くの著作が、芭蕉研究の基礎となっています。また、『新修芭蕉伝記考説 行実篇』や『新修芭蕉伝記考説 作品篇』などの著作を通じて、芭蕉の生涯や作品に対する詳細な分析と解釈を展開しました。

さらに、阿部正美は、芭蕉の俳諧に関する研究も精力的に行いました。『芭蕉俳諧の展望』では、芭蕉の俳諧全体を見渡し、その特徴や変遷を考察しています。『芭蕉発句全講』全5巻は、芭蕉の発句を詳細に解説したものであり、芭蕉の俳句を深く理解するための重要な資料となっています。

連句研究においても、阿部正美は大きな貢献をしています。『芭蕉連句抄』は、芭蕉が関わった連句を詳細に研究したものであり、全12篇にわたって刊行されました。これらの連句抄を通じて、芭蕉の連句に対する考え方や、当時の連句文化を深く理解することができます。また、これらの著作は、連句研究の第一人者としての阿部正美の地位を不動のものとしました。

また、阿部正美は、麻生磯次編の『奥の細道 諸説一覧』の編纂にも携わっており、古典文学の研究に幅広く貢献しています。

このように、阿部正美は、芭蕉研究において多大な業績を残し、日本の国文学研究に大きく貢献した人物として、その名が知られています。

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