阿部真琴

阿部真琴：日本の近世史研究に貢献した歴史家

阿部真琴（1908年-1988年）は、日本の近世史、特に幕末維新期を専門とした著名な歴史学者です。愛知県岡崎市に生まれ、東京帝国大学文学部国史学科を卒業後、その卓越した研究能力で日本の歴史学界に大きな足跡を残しました。

彼の学問的キャリアは、1931年の東京帝国大学卒業を皮切りに始まりました。卒業後は研究活動に専念し、数々の重要な著作を発表しました。初期の著作には、1934年の『上知問題』や、1942年の『新講大日本史 第7巻 幕末維新時代史』などがあり、これらは後の彼の研究の基礎を築くものとなりました。これらの研究は、当時の日本の歴史研究において重要な役割を果たし、高い評価を得ました。

1951年には神戸大学文理学部助教授に就任、その後1958年には教授に昇進しました。神戸大学においては、後進の育成にも力を注ぎ、多くの学生たちに歴史研究の楽しさと重要性を伝えました。1972年に定年退官後も、名誉教授として大学に貢献し続けました。また、徳川林政史研究所にも所属し、研究活動を続けました。

阿部真琴の研究は、単著だけでなく、多くの共編著にも及びます。代表的なものとしては、『世界歴史大系 第13B 日本史 第3』（1935年）、『綜合国史概説』（1937年）、『大学日本史』上下巻（1954年、1955年）、『新編日本史年表』（1958年）、『入門日本史』（1964-1965年）などがあります。これらの共編著は、それぞれ時代の最先端の研究成果を反映しており、広く日本の歴史研究に影響を与えました。また、スウェッテナム著『英領マライ史 英国の経略過程』の翻訳（1943年）にも携わっており、その多様な研究活動は、その幅広さと深さを示しています。

特に注目すべきは、1969年に発表した『兵庫米騒動記』です。この著作において阿部真琴は、近世日本の社会経済史における重要な出来事である兵庫米騒動について、詳細な分析と考察を行いました。この著作は、当時の社会状況や人々の生活を深く掘り下げて描かれており、現在でも高く評価されています。

阿部真琴の研究は、日本の近世史、特に幕末維新期の研究に多大な貢献を果たしました。その緻密な研究、明確な論述、そして後進育成への情熱は、多くの歴史研究者に大きな影響を与え続け、日本の歴史研究の発展に大きく貢献しました。1988年、急性心不全のため逝去しましたが、彼の残した功績は、日本の歴史研究において永遠に輝き続けるでしょう。彼の業績は、現在も多くの研究者や学生によって引き継がれ、日本の歴史研究の礎となっています。彼の著作は、日本の歴史を深く理解するための重要な資料として、今後も活用されていくことでしょう。

もう一度検索