阿部進

教育評論家 阿部進の生涯

阿部進（あべ すすむ）は、1930年6月11日に神奈川県川崎市で生まれ、2017年8月10日に87歳で生涯を閉じました。彼は教育評論家として、日本の教育界に多大な影響を与えた人物です。神奈川県立神奈川工業高等学校（機械科）と横浜国立大学学芸学部特殊教員養成課程を卒業後、川崎市内の小学校で教鞭を執りました。1964年に教職を退いてからは、創造教育センターを設立し、野生学園を主宰。1980年には児童文化の活性化を目指し、劇団はかせを立ち上げました。さらに、麻布科学実験教室を創設するなど、多岐にわたる教育活動を展開しました。

「カバゴン」と現代っ子

阿部進は、「カバゴン」という愛称で広く知られていました。このユニークな愛称は、彼が『日清ちびっこのどじまん』に出演した際、視聴者からの公募によって選ばれました。当初、1位は「ブタゴン」でしたが、スポンサーである日清食品への配慮から2位の「カバゴン」が採用されたというエピソードは有名です。また、彼は「現代っ子」という言葉の生みの親でもあり、1962年にこの言葉を世に送り出しました。

メディアでの活躍

阿部進は、教育評論家としての活動だけでなく、メディアにも積極的に登場しました。1970年代には、週刊少年ジャンプでコラムを連載し、当時PTAから批判されていた漫画『ハレンチ学園』を擁護しました。この縁で、『ハレンチ学園』の単行本化の際には解説を担当し、テレビドラマ化の際には次回予告にも登場しました。さらに、旧ポピー（現バンダイ）の超合金のパッケージ裏面に親向けのメッセージを掲載したり、週刊少年ジャンプの手塚賞の審査員を務めたり、TBSラジオの全国こども電話相談室の回答者としても活躍しました。子供向けのメディアへの積極的な参加は、彼の教育に対する熱意の表れでした。

晩年の闘病と塩水療法

晩年、阿部進は体重増加と高血糖に苦しみ、失明寸前の状態に陥りましたが、医師の指導のもと、「塩水療法」を取り入れることで病状を改善させました。この療法は、1日3.6〜5リットルのミネラル水と25グラムの天然塩を摂取するというもので、これに加えて毎日1万歩の散歩と小松菜ジュースを飲むことで、健康を取り戻すことに成功しました。この経験は、彼自身の著書にも記されています。

多岐にわたる著書と教育論

阿部進は生涯にわたり、数多くの著書を出版しました。教育に関する著書は多岐にわたり、『教師の条件』、『現代っ子気質』、『カバゴンのしつけ相談室』など、彼の教育観や子育て論が凝縮されています。また、『糖尿病からの生還』や『癌からの生還』など、自身の闘病経験を綴った著書も出版しており、その生き様は多くの人々に勇気を与えました。

子供たちへの深い愛情

阿部進は、子供たちの可能性を信じ、その個性を尊重する教育を提唱しました。彼の教育活動は、学校教育だけでなく、家庭教育や社会教育にも及び、子供たちが生き生きと成長できる環境づくりに貢献しました。また、知的障害児の親の会「手をつなぐ親の会」の結成にも関わるなど、社会的な弱者への配慮も忘れませんでした。彼の教育に対する情熱と子供たちへの深い愛情は、多くの人々に感銘を与え、後世に語り継がれることでしょう。

阿部進は、2017年8月10日に胃がんのため亡くなりましたが、彼の教育に対する熱意と、子供たちへの深い愛情は、今もなお多くの人々の心に深く刻まれています。

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